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[ サスペンス ]
帝王、死すべし
折原一 出版月: 2011年11月 平均: 4.67点 書評数: 6件

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講談社
2011年11月

No.6 5点 測量ボ-イ 2020/04/04 09:10
(ネタばれ気味?)

主人公の少年をイジめた人間の正体はさすがに終盤で推測しまし
たが、「帝王」の正体は・・・これは後出し感があって判らない
ですよね。
他の方も仰っていますが、再読しようという気にはならない
微妙な出来。

(余談)
3月より地元の図書館は閉鎖され、昨日4月も延長との通達が。
読む本がない・・・
しばらく鮎川氏の作品の再読でもするしかなさそうです。

No.5 5点 E-BANKER 2019/05/19 11:23
ノンシリーズの長編。
タイトルはE.クイーン後期作品を想起させますが、内容等含めて一切関係なし。
2011年の発表。

~息子・輝久の日記を盗み見た野原実は衝撃を受けた。『てるくはのる』日記には赤裸々ないじめの告白があったのだ。服の下の無数のミミズ腫れ。中心にいるらしい「帝王」とは誰か? 夜の公園で繰り返される襲撃事件。息子は学校を大混乱させることを考えているらしい・・・。叙述トリックの名手が用意した驚倒の結末とは?~

本作は1999年、京都市伏見区で起こった実在の『てるくはのる』事件が下敷きとなっている。
これまでの折原作品でも実在の事件がモチーフになっている作品は多いので、まぁ“いつもの手”ということ。
作中で「日記」が多用されるのも、もはやお約束という感じだ。

いつもながら、読んでるうち訳が分からなくなるストーリーなのだが、本作は主に①「帝王」の正体、②「てるくはのら」事件の犯人、③いじめ問題の真相、の三つのエピソードが複雑に絡み合いながら進行していく。
そして、やっぱり登場する“ねじ曲がった“(或いはねじ曲がっていく)人たち。
主役である野原実・輝久親子はもちろん、妻・娘。そしてノンフィクションライターの男、クラスメートたち、担任教師etc
いったい誰がまともで、誰が狂っているのか、見極めがつかないまま終章になだれ込んでいく。
そしてラスト。これが果たして「驚倒」というレベルなのかは別として、ここでようやくタイトルの真の意味が分かる仕掛けになっている。

で、数々の折原作品を読了してきた私の評価は・・・「中の下」。
作品全体を貫くプロット或いは仕掛けが、「○王の○○」に集約されてしまうとしたら、途中さんざん付き合わされてきたエピソードの数々はなんだったの?っていう感想になってしまう。
もしかして、これって「スカシ芸」なのか? 読者に「○○だけかよ!」って突っ込まれたいだけ?
っていうことまで邪推してしまう。
まぁ、他の方の評価がおしなべて低いのもやむなしでしょう。
さすがの折原もネタ切れか? ファン(?)としては心配だな。
(これが折原作品ちょうど50冊目の書評だったのだが・・・失敗したな)

No.4 4点 名探偵ジャパン 2015/01/16 10:07
「久しぶりに折原一の叙述トリック(読む前から決めつけてる)に騙されるか」と、文庫新刊コーナーにあった本書を購入した。
まあ、裏表紙に「叙述トリックの名手、折原一の…」としっかり書かれちゃってるし。
読了して、何だろう。騙されたことは騙されたが、いまひとつ、かつての折原作品を読んだ時のような、「うわー」感がなかった。
どんな凄いマジックも、見慣れてくると凄いと感じなくなるようなものだろうか。
叙述トリックというものが、「読者を驚かせる手段」から、「それを使うこと自体が目的」になってしまった感じがある。
折原一のそれは、もはや「名人芸」の域に達して、「驚く」というより、「さすが」と喝采するようなものになってしまったのではないだろうか。
大ベテラン漫才師の漫才に、爆笑はしないが、「うまいなー」と感心してしまう心境に似ているだろうか。

「帝王の正体はこの人だったんです」
「そうでしたか」
「嘘は書いてませんよね」
「そうですね」
「騙されましたか」
「はい、騙されました」
何だか小説を通して作者とやりとりする会話が、無機質なドライなものに感じてしまった。

No.3 4点 haruka 2015/01/13 22:21
今まで読んだ折原作品の中ではワースト。伏線は肩透かしが多く、ラストも意外性がなかった。

No.2 5点 蟷螂の斧 2012/05/30 07:41
さすが叙述の折原という感じです。見事に騙されました。いじめに合っている主人公に対する、いじめの張本人の言葉(ネタばれになるので書けませんが)は強烈な印象(ブラック)を残してくれました。ただ、物語の展開がやや緩慢な感じがしたのでこの評価です。

No.1 5点 kanamori 2011/12/14 19:03
いつもの折原流叙述ミステリ。しかし、これはちょっと微妙な出来かな。
復讐者の手記や父親が行動を起こすというプロット、タイトルから、ニコラス・ブレイクの「野獣死すべし」を意識させつつ、最後に・・・・という流れは、折原の通読者であれば仕掛けを察することは容易でしょう。もうひとヒネリ欲しかった。
今回の三面記事ネタ、京都伏見の「てるくはのる」事件は、あまり本筋と連動していないように思えるのも難点。


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