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吹雪の山荘-赤い死の影の下に
笠井潔、岩崎正吾、北村薫、若竹七海、法月綸太郎、巽昌章
リレー長編 出版月: 2008年01月 平均: 4.33点 書評数: 3件

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東京創元社
2008年01月

No.3 4点 HORNET 2012/12/23 17:48
 前書きにこれまでのリレー小説の轍は踏まない、というようなことが書かれていたけど、それでこの出来ならやはりリレー小説というのは企画自体の面白さ以外に魅力はないと感じる。むしろ、こうした企画で当該作家に初めて出会う人は、その力量を見誤ってしまうのではないか。
 ・・・・・・というように、結果として読み損。どんなにがんばっても、最後を担当する作家に皺寄せが来てしまうのは避けようがない。しかも、各作家が複数の作品を通して創り上げてきた名物探偵を、他作家が書くとキャラクターがうまく書ききれない。
 さらに、本作品で謎解きの核となる存在である機密団体の話は、論理が飛躍していてまったく納得できない。トリックから動機から、あまりに突飛過ぎて共感できない(というか理解ができない)。私は別に現実主義に則った社会派ミステリ支持者ではなく、どちらかというと本格ミステリ嗜好者であるが、だからこそロジックの蓋然性が低い突飛なものは好まない。
 ただ、最後を担当した巽氏には本当にお疲れ様と伝えたい。ある意味氏に対しての好感度が増した。

No.2 4点 星屑の仔 2010/02/14 12:43
ミステリ小説をリレー形式でやってみようと言う形式。

そもそも読者がそれとなく気付かない様に伏線を張らなくてはいけないのだから、そもそもリレー小説でうまくいくのかと思って読んでました。

全くもって予想通り、最後になるにつれゴタゴタになっていました。
なんとか伏線を処理しよう処理しよう、と躍起になって最後の謎解きの部分は何か難しい言葉で煙に巻かれたような印象を受けました。

やっぱりミステリ小説は単一の作家さんに任せた方が良いみたいです。

No.1 5点 あるびれお 2009/10/24 02:04
楽屋裏のドタバタが伝わってきそうな流れで、そこがある意味一番の読みどころだったかもしれません。文体も、ものの見事に不統一で、後半を受け持ったメンバーは大変だったろうな、と感じます。特に、有栖川氏の執筆取りやめをフォローした法月さん、なんとか一つの形にまとめ上げた巽さん、お疲れ様でした。