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[ 本格 ]
黒後家蜘蛛の会2
アイザック・アシモフ 出版月: 1978年07月 平均: 6.00点 書評数: 7件

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東京創元社
1978年07月

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1978年07月

東京創元社
2018年06月

No.7 5点 蟷螂の斧 2023/08/22 14:17
①追われてもいないのに 5点 パーティの様子を描いた原稿が一向に雑誌に掲載されない・・・塩分の取り過ぎ 著者と思しき人物が高慢ちきなゲストで登場
②電光石火 6点 男に1インチ四方の金属を持たせた。男は秘密組織にそれを渡すはず。充分な監視をつけた。レストランで食事後、出てきた男は何も持っていなかった。・・・ドアマンがタクシーを クリスティ氏の息を掴もうとしたが、結果はチェスタトン氏風
③鉄の宝玉 6点 香港にいる曾祖父から手紙と隕石らしきものが送られてきた。その隕石を500ドルで買いたいという人物が現れた。その後、欲しいとの音沙汰のないのは変では?・・・目的が違った
④三つの数字 4点 科学者の新発見資料が金庫の中。科学者は精神病院へ入院。番号は12r2715だがどうやっても開かない・・・タイプライターと手書
⑤殺しの噂 4点 ロシア人が聞いた学生の会話。マーダー(殺し)や縛りつけるなどと言い殺人計画では?・・・指輪物語
⑥禁煙 6点 昇格試験の面接で吸い慣れない煙草を吸った人物の企み・・・殺人事件にまで発展するとは!
⑦時候の挨拶 4点 グリーティングカードをコレクションする夫人。郵便物の中に一枚だけ毛色の変わったカードが・・・配達人の秘密
⑧東は東 4点 6都市のうち、「唯一無二の東」の都市は?・・・アメリカ人でも歴史の知識がないと無理
⑨地球が沈んで宵の明星が輝く 8点 月に植民都市を作る計画。どのクレーターに建設するかパートナーと意見が対立。それはパートナーの妻が自殺したことと関係が?・・・月から見た地球と人間の営みとのギャップがいい
⑩十三日金曜日 4点 大頭領の暗殺を計画し絞首刑にされた人物の手紙が、数年後に発見された。果たして暗殺計画の手紙だったのか?十三日金曜日とあり、日付がなかった・・・暦の仕組み
⑪省略なし 5点 本の中に貴重な切手が隠されているが発見できず・・・アンカット本
⑫終局的犯罪 6点 シャーロック・ホームズに登場するモリアーティ教授が書いたと「小惑星の力学」は?・・・世に出なかったわけ 著者もシャーロキアンとのこと

No.6 5点 バード 2021/04/29 11:19
一気に読みたくなるパワーは無いが、相も変わらず毎日一話位のペースでまったりと読み進めたい雰囲気。
点数については、各話の平均が1作目よりも落ちているので、総合で1点引いた。

<収録作毎の書評>
・追われてもいないのに(5点)
初っ端としてはまずます。

・電光石火(7点)
シンプルイズベストなトリックを決めている秀作。あとがきの通り、例の作品の影響が強いとは思った。

・鉄の宝玉(6点)
ラストのヘンリーの気の利いたコメントが好き。

・三つの数字(6点)
これも比較的シンプルな仕掛けで好み。伝言ゲームって難しいね。

・殺しの噂(5点)
『指輪物語』は未読なので、申し訳ないが良さが十分伝わらず。

・禁煙(7点)
うんちくを織り交ぜた小ネタが多めの「ブラックウィドワーズ」ものにおいて一風変わった正統派な探偵話と思う。(マッチの使い方を起点とした推理などは特にそう思う。)

・時候の挨拶(5点)
ゴンザロがやたら色々推理するがコナンのおっちゃんみたいな感じで微笑ましい。謎の面白さは可も無く不可も無くといったところ。

・東は東(5点)
アメリカの地名ネタなので、日本人である自分には少しとっつきにくかったが悪くはない。

・地球が沈んで宵の明星が輝く(5点)
まあまあ。謎は微妙だが、「ブラックウィドワーズ」ものにしてはシリアス成分が強く、短編集の中でストーリーの緩急をつけるという意味でいいかも。

・十三日金曜日(4点)
考え方は小学生でも思いつくレベル。あとがきによるとEQMMは本作を没にしたらしいが、自分はこの判断が妥当だと思う。

・省略なし(6点)
『三つの数字』に続き伝言ゲームの難しさが原因で生じた謎。伯母さんのあの言い換えはちょっと無理矢理な気もするけどな(笑)。

・終局的犯罪(7点)
シャーロキアンの戯れを書いた話。こういう不毛なことについて真面目に議論するのは楽しいですよね。幸い自分の知識レベルでついていける議論だったので、メンバーと一緒に語っているような感覚が味わえた。本短編集の中で一番好きかも。ヘンリーが冠詞を切り口に推理し始めるのも自分好み。

No.5 5点 nukkam 2016/08/12 13:26
(ネタバレなしです) 1974年から1976年にかけて発表された作品を12作まとめて1976年に出版された黒後家蜘蛛の会シリーズ第2短編集です。謎解き的には辛くなりました。アメリカの文化風習や英語力などの知識を求められる作品が増えてしまったのです。私のような知識レベルの低い読者でもなんとかなりそうなのは「三つの数字」、「禁煙」、「鉄の宝玉」ぐらいですか。まあこのシリーズは額に汗して謎解きに挑戦するのではなく、ユーモア溢れる会話を気軽に楽しむというコージー派ミステリーだと思えばそれなりには楽しい読み物です。

No.4 6点 ボナンザ 2014/04/08 17:03
シリーズの中では本格の色が濃い一冊。
不満なく読める。

No.3 7点 E-BANKER 2012/11/21 23:00
安楽椅子型探偵シリーズといえば本シリーズ。
給仕人・ヘンリーの頭脳が相変わらず冴え渡るシリーズ第2弾。

①「追われてもいないのに」=ゲストの売れっ子作家が持ち込んだ謎は、必ず活字になる自分の原稿が一向に日の目を見ないのはなぜかというもの・・・。これはヒントが分かりやすいから読者にも解けるのでは?
②「電光石火」=ある人物がレストランから出てくるまでの間に「あるもの」が消えてしまった・・・という謎。これは脚注にも書いているとおり、チェスタトンの名作「見えない男」を踏まえた作品。ということは・・・真相はそう!
③「鉄の宝玉」=このプロットは短編作品で手を変え品を変え登場するやつだろう。要は奇術のタネと一緒で、観客には右手だけを見せながら、実はタネは左手で細工していた・・・ということ。
④「三つの数字」=これは「暗号もの」の変種なのだが、トリックというかタネにタイプライターが関わっているというのが欧米のミステリーらしいところ。
⑤「殺しの噂」=ゲストはアメリカの大学で教鞭をとるロシア人。そのロシア人が公園のベンチで耳にした「殺人に関する噂」の真偽が今回の謎。これは英語の発音がキーになってるので、日本人にはちょっと分かりにくいかも。
⑥「禁煙」=人を見る目に絶対の自信を持つとある企業の人事部長。彼の判断の材料は「タバコを吸うか」なのだが・・・。結局、ヘンリーが解き明かした真相は彼の目が曇っていたということを示す。
⑦「時候の挨拶」=これも一種の「暗号もの」だが、トリックは暗号そのものではなく、なぜこの「暗号」が差出人に届いたのかという点にある。
⑧「東は東」=これは「謎かけ」のような作品。伯父が残した遺産を引き継ぐための条件として提示された謎が、指定された4つのアメリカの都市のうち、「唯一無二の東にある都市」というもの。これはアメリカの歴史に謎の鍵があるので、その辺に詳しい方なら分かるかも。
⑨「地球が沈んで宵の明星が輝く」=今回の謎は、地球を飛び出して宇宙に関するもの(?) 今回のゲストがフランス人というところに謎の鍵がある。
⑩「十三日金曜日」=本作は「暦」そのものの仕組みやその解説が何より面白い。言われてみると当たり前のようなのだが、ここまで詳しく解説してもらうとよく分かる。
⑪「省略なし」=伯母が残した遺産は「高価な切手」。伯母はそれを蔵書のなかに隠したらしいのだが、人手を雇って大掛かりに探しても全く見つからない・・・。本作の謎の鍵も英語の表現に関するものなのだが・・・
⑫「終局的犯罪」=今回のゲストは生粋のシャーロキアン。彼が論文の材料にしようとしているのが、ホームズ最強のライバルであるモリアティ教授。そして、教授がいったいどんな研究をしていたのかを何とヘンリーが指摘してしまう!

以上12編。
今回も粒ぞろいの好編が並んでいるという印象。
プロットはどこかで読んだ記憶があるものの焼き直しという感がなくもないが、ここまでうまく使いこなすのは「さすが」だろう。
短編好きなら必読の1冊。
(個人的な好みなら②③⑩辺りかな。その他も水準以上の作品ではないか?)

No.2 7点 こう 2008/10/19 23:43
 「追われてもいないのに」「電光石火」、「禁煙」などは比較的本格色があると思います。
 作品中の会話もアシモフ自身のあとがきも相変わらず好調な作品です。

No.1 7点 ElderMizuho 2008/08/14 23:05
短編集ですが、一つ一つの話のオチがしっかりしていて楽しめました。
見たことのあるようなネタが多いのですが、もしかしたらこの作品が先行作品なのかも


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