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kanamoriさん
平均点: 5.89点 書評数: 2426件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.29 5点 口笛探偵局- 仁木悦子 2013/03/31 10:58
学習雑誌などに連載されたジュニア・ミステリ集の2巻目。
前巻と比べると殺人事件を扱った本格的な謎解きモノが多くなっている印象がある。なかでは、クイーンや鮎哲の某有名作を連想させるアリバイトリックを使った「なぞの黒ん坊人形」はなかなかの良作。
表題作の中編「口笛たんてい局」は、4人組の小学生探偵団が立て続けに3つの事件に遭遇し、3度とも悪漢グループに監禁される、というお約束満載の冒険譚で楽しい作品。
謎解きモノ冒険モノともに、ほのぼのとした後味の良い読後感が共通していますが、なかには「やさしい少女たち」のような異色作があるので油断できない。

No.28 5点 灰色の手帳- 仁木悦子 2013/03/12 23:36
学習雑誌などに掲載されたジュニア・ミステリ作品集の1巻目。

いずれも子供を探偵役に据え、中学生向けには手がかりを提示したロジカルな犯人当ての謎解きミステリ、小学生向けには悪漢グループを相手にした冒険ものというふうに内容に工夫を凝らしていて好感がもてます。
読み応え充分の長編「消えたおじさん」が目玉作品だと思いますが、ほかにも中学生時代の仁木兄妹が探偵役の「みどりの香炉」、童話でミステリという「ころちゃんのゆでたまご」などが楽しい。

No.27 5点 死の花の咲く家- 仁木悦子 2012/10/15 18:07
ミステリ短編集(角川文庫版)。
表題作は、長編「殺人配線図」の探偵役・新聞記者の吉村駿作シリーズの1編で、仁木兄妹が扱うような遺産相続がらみのミステリ。収録作の中ではもっとも本格っぽいが真相は分かりやすい。
「空色の魔女」は、園児が書いた不自然な白雪姫の絵から、幼稚園の保母が推理を展開していくプロットが面白い。子ども視点の作品2編のうち「夏雲の下で」は、お得意の小学生探偵による謎解きもの、「鬼子母の手に」は子供が窮地に嵌るサスペンスものとテイストは違うものの、ともに子供の描写が活き活きとしており読み心地がいいです。
松本清張や鮎川哲也などの短編集は出版社によって収録短編の編集がバラバラでコンプリートを目指すのが大変なのに対して、講談社文庫と角川文庫が競うように出していた仁木悦子作品は、両出版社で収録作品の重複がないというのはありがたいです。

No.26 5点 暗い日曜日- 仁木悦子 2010/10/01 17:51
ミステリ短編集(角川文庫版)。
主人公(視点人物)もしくは探偵役が、仁木兄妹、三影潤、浅田悦子、小さい子供というふうにヴァラエティに富んだ構成になっていて、本格&サスペンスと作風もバランス良く分かれた作品集でした。
なかでは、本格パズラーの仁木兄妹もの「暗い日曜日」が読み応えのある力作。

No.25 5点 赤と白の賭け- 仁木悦子 2010/08/15 15:07
ミステリ短編集(講談社文庫版)。
主婦探偵・悦子が雛人形から出てきたメモをもとに推理を展開する「ひなの首」とか、こどもを主役に殺人事件を描いた2編「石段の家」と「悪漢追跡せよ」が好みのテイストでした。
やはり、こども視点の物語になると描写が生き生きしているように思います。

No.24 6点 青じろい季節- 仁木悦子 2010/08/11 18:17
一般人を主人公にしたハードボイルド風味のサスペンス長編。
翻訳事務所を開いている主人公が、アルバイト学生の失踪事件を追っていくうちに、もう一つの隠された事件につきあたるというストーリー。
主人公が何者かに襲われたり、真相が複雑な人間関係の闇にある点など、ロス・マクの影響があるように思います。

No.23 6点 猫は知っていた- 仁木悦子 2010/07/31 14:52
仁木雄太郎・悦子シリーズの第1作でデビュー作。
兄妹が下宿している医院の家族・患者内の連続殺人を描いていますが、ワトソン役の悦子の語り口がなかなか読み心地いい。
連続殺人を描いていても、横溝正史のようなおどろおどろしさがなく、(当時はまだ芽生えてなかったが)社会派のようなシリアスな感じもないので、純粋に探偵小説のロジックを楽しめた。

No.22 5点 青い風景画- 仁木悦子 2010/07/06 22:01
ミステリ短編集(講談社文庫版)。
晩年に書かれた長めの短編5作収録されています。
なかでは、富豪の別荘での大胆なトリックが印象的な私立探偵・三影潤もの「青い風景画」が個人的ベスト。

No.21 5点 銅の魚- 仁木悦子 2010/07/06 21:52
ミステリ短編集(角川文庫版)。
収録6編のうち3編が子供視点の物語となっていて、相変わらず巧いです。
なかでは、一歳の妹の誘拐事件を小学生の兄の視点で描いた「誘拐犯はサクラ印」が印象に残りました。

No.20 7点 冷えきった街- 仁木悦子 2010/07/06 21:25
私立探偵・三影潤もの唯一の長編ミステリ。
短編ではあまり顕著ではありませんが、本書は著者がファンだというロス・マクを意識した複雑な家族関係を描いたハードボイルドになっています。
三影自身の暗い過去が明らかにされる点など、他のスマートな本格ミステリとはだいぶテイストが異なり、人物の書き込みにも厚みがあるように思いました。

No.19 6点 赤い猫- 仁木悦子 2010/07/06 18:00
ミステリ短編集(角川文庫版)。
角川文庫から出ている作者の文庫本の表紙絵は全て猫のイラストで統一されていることに気がついた。猫など出てこない作品が大半なんですが、それだけ乱歩賞作品の印象が強いということでしょうか。
本書は比較的後期の作品が6編収録されていますが、協会賞を受けた表題作の「赤い猫」、三影潤ものの「白い部屋」、仁木雄太郎もの「青い香炉」の3作は、いずれもが安楽椅子探偵もので、ほかにも面白い仕掛けがあり楽しめる。

No.18 5点 枯葉色の街で- 仁木悦子 2010/07/06 18:00
田舎出身の素朴な青年を主人公にした一種のミッシングリンクものの本格ミステリ。
拾った札入れの中の8枚の名刺の人物を訪ね歩くと殺人事件に巻き込まれというストーリーで、市井の名もなき人々を暖かい眼差しで見つめているのはいつものとおり。
清貧な昭和40年代初頭の香りが漂っています。

No.17 5点 三日間の悪夢- 仁木悦子 2010/07/06 18:00
ミステリ短編集(角川文庫版)。
主に70年代に発表された作品6編収録されています。
結婚してママになった悦子もの「ただ一つの物語」はオーソドックスな本格編といえますが、他はどちらかと言えばサスペンス重視で、人間そのものの謎がテーマではないかと思います。

No.16 6点 緋の記憶- 仁木悦子 2010/07/06 17:59
ミステリ連作短編集(講談社文庫版)。
私立探偵・三影潤シリーズは、今では出版芸術社から全三巻に纏められていますが、それまでは本書と角川文庫の「夏の終る日」にまとまって入っているものの、一部は他の作品集に混在しています。
本書は70年代後半に書かれた6編が収録されていて、仁木悦子なりのハードボイルド?が楽しめます。

No.15 6点 灯らない窓- 仁木悦子 2010/07/06 17:59
子供を主人公にしたミステリは著者の独擅場といえますが、多くは短編で書かれていて、ジュヴナイルを除くと、長編では本書しか思い浮かばない。
母親の殺人容疑と父親の冤罪疑惑を絡めたサスペンス風の物語は、小学生男子の視点で綴られるパートが活き活きとしていて、作者の本領発揮と言えます。
小さい妹を連れた小学生探偵はなんともいじらしい。

No.14 6点 夢魔の爪- 仁木悦子 2010/07/05 21:40
ミステリ短編集(角川文庫版)。
三影潤ものの表題作、仁木兄妹ものの「赤い痕」「虹の立つ村」などシリーズものも楽しめたが、編中のベストは「おたね」だろう。
ある不幸な過去を持つ女中の話から意外な事実が浮かび上がる物語は、殺人を描きながらもどこかほんわかしたテイストの他作品と一線を画する名作。

No.13 7点 二つの陰画- 仁木悦子 2010/07/05 21:25
飛びぬけた傑作はないけれど、駄作もない作者の長編の中では、個人的に一番よく出来ていると思った本格編。
檪健介夫婦が自身のアパート内で発生した密室殺人にいどむオーソドックスな集合住宅ものですが、それぞれ秘密を抱えるアパート住民たちの造形とミスリードぶりが冴えています。密室を構成する理由もナルホドーと感心しました。

No.12 6点 殺人配線図- 仁木悦子 2010/07/05 21:13
新聞記者・吉村駿作シリーズの長編ミステリ。
現在の事件から過去の隠された事件が浮かび上がってくる構成は、”日本のクリステイ”と称された作者の面目躍如です。
機械好きの少年が重要な役割を果たすなど、短めの長編ながら、いかにも仁木ミステリという感じをうけた。

No.11 5点 黒いリボン- 仁木悦子 2010/07/05 21:01
仁木兄妹シリーズ第4弾、最後の長編ミステリ。
今作は、誘拐をテーマにしたサスペンス風ミステリで、巧みな伏線の張り具合を楽しむ本格編ではないのが残念。
短めの長編なのでちょっとあっけない。

No.10 6点 刺のある樹- 仁木悦子 2010/07/05 20:54
仁木兄妹シリーズ長編第3弾。
雰囲気は日常の謎テイストながら、実際は殺人事件が必ず発生するのが作者のミステリの特徴。
本書は、最初から依頼人が兄妹のもとに登場するプロットで、従来の巻き込まれ型と趣を変えていますが、最後まで読むとそれも作者の計算のうちと分かる。

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kanamoriさん
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