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今夜はパラシュート博物館へ
森博嗣 出版月: 2001年01月 平均: 6.12点 書評数: 16件

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講談社
2001年01月

講談社
2004年03月

No.16 5点 E-BANKER 2017/05/12 23:39
「まどろみ消去」「地球儀のスライス」につづく第三短篇集。
2001年発表。

①「どちらかが魔女」=久々のS&Mシリーズというだけで心が弾む(?)。やっぱり、犀川先生のクールさは群を抜いているし、物事の捉え方はもはや職人芸だ。あと、諏訪野も職人芸?
②「双頭の鷲の旗の下に」=犀川&喜多が母校の文化祭に招かれて・・・という一編。そして、同時に進行する謎の事件・・・。現実と過去が入り混じってよく分からなくなってくる。
③「ぶるぶる人形にうってつけの夜」=とにかく“二倍男”がツボ! 途中まで「ぶるぶる」じゃなくて「ぷるぷる」だと思ってた。平面図の件は指摘されるまで気付かなかったな・・・
④「ゲームの国」=アンチ・ミステリ、ということでよいのでしょうか? アナグラムか・・・まっ、どうでもいいって言うか・・・
⑤「私の崖はこの夏のアウトライン」=ファンタジー? イメージの世界
⑥「卒業文集」=小学校の卒業文集をそのまま載せ、そこにミステリーのスパイスを盛り込むというセンスの高い作品。そんな仕掛けが?と思ってると、最後の最後で「うーん」となる。
⑦「恋之坂ナイトグライド」=一応、最後にオチがある。
⑧「素敵な模型屋さん」=児童文学のような、大人向けのような、ラストには心が温まる・・・そんなストーリー

以上8編。
いやいや・・・読んでて、途中あまりの「分からなさ」に投げ出したくなった。
「いったい何がいいたいのだろう?」って多くの読者は思うのではないか?
(特に私のような拙い読者は)

そこはさすがに森氏で、もちろん企みや仕掛けがそこかしこに用意されている。
普段のシリーズ長編とは違って、よい意味では「前衛的」で「遊び心たっぷり」。
でも分かりにくいよネ・・・それが狙いなのかもしれないけど、「分かる人には分かる」っていうのは罪だという気もした。
評価はちょっと辛め。
ところで「パラシュート博物館」とはどういう意味なんでしょうか?

No.15 4点 Tetchy 2016/11/30 23:45
第1、第2短編集では長編では見られない抒情性が豊かで実に私好みの話が多く、俄然期待値が高まったこの第3短編集の内容はしかし抒情性は薄まり、どちらかというと解る人以外には全く解らないミステリの仕掛けが尖鋭化してきているようだ。
物語のメインの謎よりも聡い読者しか気づかない仕掛けに力点が一層置かれており、ますます森氏独特のミステリ趣味が特化してきており、気づかない読者は置いてけぼりを食らってしまうのだ。
それらについては後に述べるとして、私の期待に応えてくれたのが「卒業文集」であり、「素敵な模型屋さん」だ。

「素敵な模型屋さん」は趣味を持つ者が誰しも抱く願望を描いた美しい作品。最後に夢のような模型屋に出くわした少年自身が模型屋の老主人になるところは実に心温まる。
また小学生の作文で構成された実験的な作品である「卒業文集」がなかったら本書の評価はかなり下がっただろう。素朴でかつサプライズに満ちたこの作品がなかったらもっと評価は下がっていた。



以下、蛇足めいたネタバレ。



例えば小鳥遊練無が登場する「ぶるぶる人形にうってつけの夜」では3つの大学棟の平面図が付されているが、これが実はアルファベットになっており、それを繋げると…。
個人的に最も嫌いな「ゲームの国」は虫暮部さんご指摘のように各所にアナグラムが隠されている。

さらに「恋之坂ナイトグライド」は出逢ったばかりの男女の夜中のランデヴーのお話のように思えるが、実は主人公たちは鳥だったというオチ。

これらはウェブで調べれば識者が教えてくれるが、本書では全く明かされず、解らない人は未来永劫そのままだろう。


このような仕掛けを面白いと思うか否かは読者次第だろうが、私はそこまで付き合っていられないので、次の短編集への期待が下がってしまった。

No.14 5点 虫暮部 2016/08/18 11:09
 うーむ、アナグラムか。続きを考えてみた。

 巨匠、窓見ろ(まどろみ消去)
 殿、死し、公家、問わん(幻惑の死と使途)
 名乗れ、プツリ、か(夏のレプリカ)
 芋は美味いな(今はもうない)
 相撲に来て死刑(数奇にして模型)
 優美、ショパンの桃源(有限と微小のパン)

 ……てな感じでどうかな。ところで『封印再度』には

 産医、不同意
 いい不動産
 インド風犀
 催淫豆腐

 ……といった手もある。あそこで苦しい作例を挙げたのはオチとしての演出?

No.13 7点 ∠渉 2015/02/14 02:27
前2作の短編集よりも、全体の流れが良い。シリーズ短編とオリジナルを前半と後半で分けた並びも気に入っている。
初短編集の『まどろみ消去』から比べると、良い意味で力の抜けた感じがする。7割ぐらいの感じで、著者の力加減が絶妙な作品集になっていると思う。この「7割感」を点数に反映した。読む側のコンセントレーションも7割ぐらいで楽しめた、ということで。
前半の短編(『どちらかが魔女』~『ぶるぶる人形にうってつけの夜』)は、まぁ、楽しみ方次第でどうにでもなる感じ。シリーズものなので、読者(とくにファン)の食いつきは良いことでしょう。
そんでもってノン・シリーズ短編である。個人的にはかなり思い出深いものが多い。
『ゲームの国』は東野さんの『名探偵の掟』みたいなアンチめいた作品になっているけれど、あれよりも砕けてるし、オシャレ感があってふつうに面白い。
『私の崖はこの夏のアウトライン』、『卒業文集』、『恋之坂ナイトグライド』はある意味でかなり思い出深い短編で、初読した当時、この世界観にはまり過ぎて恥ずかしながら自分も短編に挑戦したのである。もちろん駄作だけど、それぐらいはまっていた。
でも改めて読むと、ラストの『素敵な模型屋さん』が一番好きかな。駆逐艦的に言うと「撃沈」な世界観。ほんの少し年をとって、ノスタルジックになったわけだ。喜ばしいことなのか。でもこの変化が再読においてエッセンスになったので、ノスタルジックも悪くはない。

No.12 4点 まさむね 2014/03/29 09:55
 作者の第3短編集。
 第2短編集「地球儀のスライス」は個人的に好印象だったのですが,正直,こちらの短編集はそれほどでもないなぁ。
 というのも,既存キャラに頼りすぎた展開が多すぎる。ファンとしては「へぇー」的な話題も確かにあるのだけれども,それだけではねぇ。

No.11 6点 TON2 2012/12/17 16:58
講談社NOVELS
 「どちらが魔女」「双頭の鷲の旗の下に」「ぶるぶる人形にうってつけの夜」「ゲームの国」「私の崖はこの夏のアウトライン」「卒業文集」「恋之坂ナイトクラブ」「素敵な模型屋さん」の8編。
 日常の謎系の短編集です。

No.10 4点 ムラ 2011/10/13 02:41
(ネタバレあり)

全体的に既存キャラの+αの物語を書いた作品。
主に結婚勢が多い。
ぶるぶる人形のセリフは完全に読者を騙すだけのものなので、それ以上の意味がないのが残念。Vシリーズおよび四季読んだ後じゃなかったら自分も騙されたと思うけど。
シリーズ外で好きなのは卒業文集と素敵な模型屋さん
卒業文集はオチのつけ方がよかった。素敵な模型屋さんは単に話として好き。

No.9 5点 yoneppi 2009/11/11 23:34
評価が高いようだけど期待どおりとまではいかなかった。
ぶるぶる人形は紙人形ジョニーと同じってことでいいのでしょうか。

No.8 9点 スピカ 2008/09/30 08:16
森さんの短編では、執事・諏訪野と国枝先生はキャラクター的にどんどんグレードアップしていっている。そこが微笑ましい。

No.7 7点 Rin 2005/04/11 02:03
森氏の駄洒落を見るたびに、ほんの少し楽しくなります。卒業文集が好き。

No.6 2点 ぷうば 2005/01/05 01:41
空き時間用に携帯して、ちょこちょこ読んだのだが・・・何もしないでボーっとしてた方がよかった・・。
 最初の「どちらが魔女」は、苦しまぎれに書いた子供だましのネタを、最後に正当化しようとしているのが一層、見苦しいし、次の「双頭の・・」は何を言っているのか、わからなかった。(とても読み返す気にはなれない) 「ぶるぶる・・」は森ファンには、たまらないだろうと想像はつくけど、それほどでもない読者には、退屈な手品ごっこに過ぎない。 いっそのこと、全部「ゲームの国」みたいなバカ話にしてくれれば、と思いつつも「私の崖・・」は、やはり見え見えのネタを補うべく、ホラー味をチョコンと、乗っけただけ。 「卒業文集」は唯一、最後に驚けて、ちょっとだけエンターテインド。 続く「恋の坂・・」も、驚かし系?か、よくわからず意図不明。 最後の「素敵な・・」は、作者の個人的な感傷に共感できる人だけが浸れる話。
 時間つぶしに、この本を選んだ自分が悪かったかもね。

No.5 7点 ばやし 2004/09/13 16:57
おもしろかったです^^ぶるぶる人形のやつは萌絵ではなくて睦子おばさんでしょう。でなきゃ時代がおかしいーあれは犀川先生が子供の頃の話なんだから。紫子と練ちゃんと同年代の役ですからねー

No.4 8点 四季 2003/11/23 03:16
ちょいネタバレ
ぶるぶる人形についてずっと考えていました。あれは本当に萌絵なのか?そうだとしたら全然納得できないのでマイナス2点です。
あと一話が長くなった様な気がして少し読みにくかったかも。
ただ、相変わらず考えさせられるものが多くて十分。

No.3 9点 ともじ 2002/05/20 17:39
大御坊氏に拍手!この一言に尽きます。

No.2 6点 由良小三郎 2002/05/06 20:23
国枝桃子女史の旦那がでてくるだけの短編とか、ファン向けです。国枝女史の旦那が主人公の話は、ひそかに期待しているところがあるのですが(いわゆる庶民の探偵小説)、やや期待はずれでした。
3つの短編に萌絵さんが出てきますが、ちょっと性格がやな金持ちの令嬢風になってるような気がします。

No.1 10点 くろ 2002/02/04 18:49
ぶるぶる人形最高!!!


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