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[ サスペンス ]
サムスン島の謎
アンドリュウ・ガーヴ 出版月: 1960年01月 平均: 6.00点 書評数: 3件

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早川書房
1960年01月

No.3 6点 ことは 2019/02/10 11:08
去年からガーヴをたくさん読んでいますが、本書は平均点の出来です。
観光地が舞台の2時間サスペンスのようなプロットです。
テレビのサスペンスより、品がいいのがガーヴの良さでしょう。
福島正実訳好きとしては、ガーヴに福島正実訳が多いのがうれしいです。本書も福島正実訳です。
ちなみに、舞台は実在の場所で、Wikiに航空写真があります。
本書の冒頭に地図が掲載されていますが、航空写真と比べても、かなり正確に書かれています。
私は航空写真をカラー印刷して、参照しながら読んだので、情景イメージが湧きやすかったのか、観光地の空気感を楽しめました。

No.2 6点 人並由真 2017/09/26 18:12
(ネタバレなし)
「わたし」こと歴史学の大学講師で、アマチュア考古学者でもあるジョン・レイヴァリイ(29歳)。彼は発掘調査に向かった英国南西部のシシリー諸島、その一角のサムスン島で、同年代の美貌の人妻オリヴィア・ケンドリックと出会う。なりゆきから偶然、閉ざされた地所にふたりだけ取り残されたジョンとオリヴィアは、清廉な関係のまま、そこでともに一晩を過ごした。だがオリヴィアの夫で父親ほども年の違う古参の新聞記者ロニイ(ロナルド)が二人の仲を一方的に疑い、ジョンに手を上げた末に崖下の海へ落ちてしまう。助けようと海に跳びこむジョンだが、ロニイは見つからず、死体も上がらない。やがてジョンの脳裏には、ある疑念が生じてくる…。

 カギカッコの台詞によるダイアローグの比重が多く、ガーヴの諸作のなかでもこれはその意味で上位に来る印象。当然ながらただでさえスピーディな展開のガーヴ作品のなかでもかなりリーダビリティは高く、あっという間に読み終えてしまう。
 死体が見つからないロニイの謎、その裏に潜むかもしれない何者かの意志、そもそもジョンとオリヴィアの出会いは…などなど物語の興味を牽引するフック要素は非常に豊富で、後半にはいかにもイギリスの正統派冒険小説らしい自然のなかでのクライシス描写も登場し、物語に厚みを与えている。

 なお本書(ポケミス版)の訳者の福島正実はもちろん日本SF分野での偉人だが、ミステリには全般的に興味が薄く、でもその(ミステリジャンルの)なかでは例外的にガーヴが好きだったと語っており(どこで読んだか忘れたが)、実際に翻訳を担当したガーヴ作品も少なくない。
 それで本書はその福島が(この時点までの)ガーヴのベスト5に入る一本というだけあって、ページ数的にはそこそこ(本文200ページちょっと)ながら、密度感は高い。最後のミステリとして「え、そっち!?」という意外性も印象的で、まあ福島のように、褒める人が褒めるのは理解できる本書の出来である。

 とはいえ一方で、これだけの内容(物語要素)を語るのなら、昨今の作品ならポケミス換算で最低でも300ページは使うんじゃないかなあ…という感慨も正直、あったりした。その意味では贅沢ながら、もっともっと長めに読みたかった気もする。
 それゆえに良く出来た作品だとは思うものの、評点はちょっと辛めでこの点数。

 まあガーヴの作品に重厚感を期待するのはお門違い…という気もしないでもないが、いやいや『カックー線事件』なんか紙幅的にも質的にも相応のボリューム感はあったし、できない訳ではないんだよね。実際、器用な職人作家という印象が強い一方、けっこうバラエティ感も豊富な書き手だしさ。

 ちなみに訳者あとがきでは、本書刊行当時の未訳作品「The Narrow Search」もポケミス近刊予定とあったが結局それは叶わず、近年の2014年になって論創から『運河の追跡』の邦題でようやく発刊された。本書とそちらの間、変わらずリアルタイムのミステリファンだった年輩の方のなかには、感無量の人もいるのかもしれない。

No.1 6点 こう 2012/02/12 02:16
 歴史学者が滞在先で一流記者の妻に会ったことで巻き込まれるスリラーです。
 彼女の夫が死んでいるのか、生きているのかというところと彼女がそれに関わっているのかというところが一応の読みどころでしょう。斧が果たす役割もニヤリとさせられました。
 ラストはこの展開ならいくらなんでも甘すぎると思える展開ですがまあガーヴらしい締めです。


アンドリュウ・ガーヴ
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