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[ サスペンス ]
むかし僕が死んだ家
東野圭吾 出版月: 1994年05月 平均: 6.91点 書評数: 56件

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双葉社
1994年05月

講談社
1997年05月

No.56 6点 ことは 2021/05/16 14:24
プロットはいい。事実がみえてくる展開も軽快で(少し軽快すぎるかも)一気読みだ。
ただ、読んでいて、話が分散して感じられた。「その家の過去を推理する話」「女性の過去を探す話」「語り手の抱えている問題」のそれぞれが、うまく関連していない。展開としても「女性の過去を探す話」が、「その家の過去を推理する話」にかわり、最後に急に「女性の過去を探す話」に戻るという感じで、どこかアンバランス。ラストの落とし所も、少し無理が感じられる。
また、(上記展開のためもあると思うが)人物描写がよくない(悪くないけと、迫真性が足りない)ので、登場人物に共感できなかった。(共感が小説に必須とは思わないが)この話は登場人物に共感させてこそ、最後がいきるプロットだと思う。
ある程度面白いのだけど、「もう少しで、そうとう面白くなったのに」と悔やまれる作と感じた。

No.55 7点 ぷちレコード 2021/03/01 22:53
記憶、思考と人間に絡む謎を取り上げている。抽象的な枠組みの中で、謎そのもの、執拗に繰り返される推理そのものが、緊密かつ必然的にテーマに繋がっている。

No.54 6点 バード 2020/09/05 10:00
(少しネタバレあり)
面白ギミックてんこ盛りの本書。ただ、その隠し方は全体的に上手と思えず。水星のヒントなどは直球すぎるし、そうでなくても、ヒントが胡散臭い(断片的な記憶と他人の日記)ので、何かを誤認識させる仕掛けがあると、こちらも身構えるからね。

本作はミステリに慣れる前(トリックやロジックの蓄積がほぼ無いうち)に読むべきだった。もっと早く出会っていれば、大好きな一冊になっていたと思うと少し悔しい。

No.53 6点 じきる 2020/08/30 16:02
登場人物2人でこれだけ読ませる作品に仕上げてくるのは流石です。

No.52 5点 レッドキング 2020/07/15 19:47
幼少期の記憶のない女に、父親から残された遺品の鍵と地図。元恋人とともに訪れた山間の屋敷は、人が住んだ形跡のないままに古び始めていた。部屋に残された手記を手掛かりに、徐々に甦る女の記憶と明らかになる屋敷の「正体」。女の人生に、語り手の男の生い立ちが重ね絵のように投影されて、哀しき個々の物語が交わることの無いままに完結を見る。

No.51 7点 雪の日 2020/05/19 16:27
東野の全盛期の作品。
少しずつ謎が解けていくのがおもしろい。

No.50 7点 zuso 2020/02/23 10:21
幼い頃の記憶がないという幼馴染の女のために主人公が訪れた、「封印された幻の家」。そこで蘇った恐るべき記憶とは。
あまりに見事に回収されていく伏線と、立ち現れた重たい真相。「私はやはり、私以外の誰でもないのだと信じて、これからも生きていこうと思います」ラストシーン、主人公に届いた幼馴染からの短い手紙。一つの青春の終りであるこのエピローグに辿り着いたとき一読者である自分の心についた血の滲む傷は今も鮮やかなまま。

No.49 5点 MS1960 2017/06/25 22:33
【ネタバレあり】状況設定は面白いと感じたが、一方で、縁もゆかりも土地に”墓”としての”家”を建てるってことは相当無理のある設定。冒頭のプロローグが意味を持っているかと思い、読んでいる最中もたびたびプロローグに戻って意外な結末の可能性を探ったが、結局あまり関係がなかった。タイトルの”むかし僕が死んだ家”の”僕”って誰のこと?作中の少年?作中のおたいさんの娘(=主人公女がそうだと思っていた自分。実際には違ったが)おそらく後者だとは思うが、いまひとつぴんと来ない題名。

No.48 6点 take5 2017/03/18 21:39
終盤までの雰囲気と伏線の張り方が素晴らしいです。
ほぼ300ページ一気に読めます。
教育関係者の知人が「経験上、医学的でない支援を要する児童の問題のほとんどが、保護者の育ち方や思考の問題と密接に関わっている」と言っていました。文中のデータとシンクロしました。
※医学的な問題は統計、確率の問題だそうです。

No.47 6点 パンやん 2016/05/03 09:40
さすがのリーダビリティー感で、伏線の張り方やその回収もソツ無くうまいが、ミステリーとしての驚きは少ない。大胆な発想の割りにかわいい小品となったが、妙な怖さがあり、開放感からかもしれないが、ヒロインへのエールを感じる幕切れがうれしい。

No.46 6点 tider-tiger 2016/04/28 19:36
二人の人間が狭い家の中をうろうろするだけでこれだけの長さ。しかし、飽きさせない。閉鎖環境で力を発揮する作家というとスティーブン・キングがまず頭に浮かんだが、本作もなかなか。
タイトルからしてとんでもない結末が待っているのではないかと期待したが、残念なことに想定内のオチであった。ただ、そこに至るまでの一歩一歩の見せ方がうまい。展開が巧みな上に文章は理路整然としており、流し読んでもすんなり頭に入ってくる。そうなるとリーダビリティは極めて高くなる。
だが、残念なことにその文章に魅力を感じない。作家自身の息遣いが見えないので拒絶されているように感じてしまう。書き手の自意識が透けて見えないのは一流の証なのかもしれない。物語を効率的に読ませるという意味では非常に優れている。
でも、やはり苦手な作家の一人。

以下 ネタバレあり






最大の問題は作中にあるような理由で子供の頃の記憶がごっそりとなくなるものなのか。本当にそんなことが起こり得るのかがどうも疑わしい。
まあこれを言い出すと成立しなくなる物語(自分が好きな作品含む)がゴマンと出てくるので困ってしまうのだが。
Tetchyさんが面白いと言っていた発想 家=墓 は自分も面白いと思った。

No.45 7点 パメル 2016/01/13 19:47
いくつもの散りばめられた伏線が回収されていき衝撃の真実が明かされていく
登場人物は主に二人だけで場面も殆ど変らない状況でこのような作品が書けると
いうのは凄いとしか言いようが無い

No.44 8点 ニックネーム 2015/12/13 11:23
廃墟好きが読んでも楽しめるかもしれません。

No.43 5点 いいちこ 2015/10/26 16:21
制約条件の多い舞台設定(移動なし、登場人物2名のみ、失われた記憶の復元にのみ焦点)である点を割り引いても、想定の範囲内でしか勝負できていない。
巷間よく指摘されるタイトルの是非については、もともとタイトルだけは上手くない作者であるところ、本作は勇み足気味でアンフェアとの指摘も甘受せざるを得ない印象。
作品としては破綻を見せずキレイに着地してはいるものの、明かされた真相の衝撃度からしても軽量コンパクトと言わざるを得ない

No.42 8点 斎藤警部 2015/08/07 12:44
清冽な、おいしい水を少しずつ呑むように読みました。
東野作品の中でも特に美しい記憶に留まっている一作。

No.41 5点 バックスクリーン三連発 2014/04/07 17:39
なぜ、サヤカが死んだのかがわからない
私の見落としだろうか

No.40 7点 E-BANKER 2013/02/11 20:03
1994年発表のノンシリーズ長編作品。
作者の多彩ぶりがよく分かる一冊と言っていいのではないか?

~「わたしには幼い頃の思い出が全然ないの・・・」。七年前に別れた恋人・沙也加の記憶を取り戻すため、私は彼女と「幻の家」を訪れた。それは、めったに人が来ることのない山の中にひっそりと建つ異国調の白い小さな家だった。そこで二人を待ち受ける恐るべき真実とは・・・? 人気作家が放つ長編ミステリー~

派手さはないのだが、徐々に心に染みてくるような・・・そんな読後感。
紹介文のとおり、本作の舞台は山の中にひっそりと建つ別荘風の一軒家。物語のほとんどがこの家の中で、わずか二人の登場人物の間で展開される。
そして、過去が綴られた「日記」が本作のプロットの中心。
登場人物の二人が、この「日記」を紐解くたびに、謎が解け、そして謎が追加され或いは深まっていく・・・
それが憎らしいくらいに旨いのだ。

文庫版解説の黒川博行氏が、「この作品の伏線の張り方は尋常ではない」と書いているが、まさにそのとおり。
全ての謎が解決される「第四章」では、これまで埋め込まれた伏線の数々が鮮やかに回収され、収まるべきところに収まっていく。
まぁ、これは言うなれば「一流のマジシャンの手口」ということに尽きる。
しかも、それをさもたいしたことないようにやってのけるのが、大作家・東野圭吾の真骨頂なのだろう。

サプライズ或いはインパクトでいえば、正直なところ「小品」と言うべきなのかもしれないが、決して侮れないスゴイ作品だと思う。
ラストの切なさも個人的にはGood。
(リーダビリティも尋常じゃない・・・)

No.39 6点 haruka 2011/05/05 14:44
地味ながら、少ない手掛かりから徐々に真相に迫っていく過程が面白い。

No.38 6点 つよ 2011/05/02 23:59
登場人物2人で、ここまでミステリーに。
秀逸です。

No.37 7点 Tetchy 2011/03/24 21:50
(若干ネタバレあり)
ある家で何が起きたのかを残された手がかりで解き明かす男女2人の物語。その過程は非常にスリリングだ。

特に家=墓という発想はなかなか面白いものだと思った。特にコテコテの本格ミステリの体裁でなかっただけに意外なところからのパンチという感じがした。さらに家中の部屋が背広の海中時計に至るまで全て11時10分を指し示して止まっていたこと、家の中には明らかに生活をしていた形跡があり、飲みかけのコーヒー、勉強途中の開かれたノートなど、何かの事情で中断されたような様子だったこと、そして残された名前御厨佑介君の使っていた教科書は23年前の物だったこと、誰かが住んでいた形跡があるのにもかかわらず、冷蔵庫以外の家電が見当たらないこと、などの謎がその設定で全て納得できてしまう。

本書を読み終わったとき、結城昌治氏の『幻の殺意』を思い浮かべた。今まで生きてきた人生とはなんとも危ういバランスで成り立っており、それは一種の幻のようなものなのかもしれないとその作品では語られているが、本書の底に流れるメッセージも共通している。今までの作品でも東野氏の作品は読後何か苦いものを残していたが、本書ではそれがいっそう濃く感じた。感情の層のもっと深いところにある部分をテーマに持ち出した作品、そんな風に感じた。
300ページ足らずの佳作だが、心に残る思いは思いの外、苦かった。


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