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[ 本格/新本格 ]
誰彼
法月綸太郎シリーズ
法月綸太郎 出版月: 1989年10月 平均: 5.41点 書評数: 27件

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講談社
1989年10月

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1992年09月

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2021年01月

No.27 5点 虫暮部 2021/03/09 12:10
 初読時は“長過ぎ!”と思ったが、読み返してみると諸々の無駄があってこそ成立している作品かな~と意見が変わった。作者の持つ批評性が無遠慮に発揮されたせいで、しばしば“スタイルとしての本格ミステリ”に対するパロディに見える。
 首無し死体=『エジプト十字架の謎』、双子=『最後の一撃』、二重生活=『中途の家』、自給自足の村=『第八の日』、医師と患者=特に名を秘す某作? EQで作ったフランケンシュタインの怪物だ。
 作者が最もこだわったのは“結局、彼は誰?”だろうか。私は“身柄拘束したんだから、もう誰でもいいじゃん”と思わなくもなかったり。
 でもまぁ一番目立つのはやはり“新興宗教団体”。綾辻行人『殺人方程式』も同年。有栖川有栖はその回答として「崖の教祖」更に『女王国の城』を書いた(?)。

No.26 4点 斎藤警部 2017/12/06 23:48
小説というより、ある類のトリックに関する学術論文のような一篇。そこに密室/消失ガジェットだのなんちゃって社会派要素だの気前良く盛り込んでるもんだから焦点が定まらないこと老眼の如し、由って物語の骨格がさっぱり印象に残らず。完成度は低かろうが、本格ミステリ(素材集?)として中身は充実。若書きという事もあり青臭く粗雑な文章は好きになれないが、このチャレンジ精神は貴重と思います。無闇に低い点はあげられません。が、やぱァこんくらい。すまーん。

No.25 4点 ねここねこ男爵 2017/11/04 12:12
コリン・デクスターの手法を取り入れたということでなるほど納得。
作者の他長編でも推理の試行錯誤はありますがここまでではありません。正直他長編と比べるとかなり落ちる印象。それはミステリの仕掛け部分ではなく上記の手法に原因があるように思います。
一つ一つはさすがの素晴らしさだけに、幾つかに切り分けて数篇の短編にしてくれたらよかったなぁ…と思ってはいけないことを思ってしまいました。

初の法月作品がコレになる人がいないように祈るばかりです。惜しい。

No.24 7点 青い車 2016/01/28 18:41
『密閉教室』『雪密室』より格段に読みごたえが増しています。アイディア満載の内容で読者へのアピール力は前二作と比べずっと上がっており、終盤のくどいほどに二転三転(いや、四転五転か?)する真相に読む目を休ませることができませんでした。ただ、そのひねりが結果として面白い着地をしたかというとちょっと疑問でもあります。中には真相がどうでもよくなってしまった読者もいるかもしれません。そこが引っかかったので7点にとどめます。
ところで、ラスト・シーンが『オランダ靴の謎』を思い出させるのですが、わざとでしょうか?

No.23 6点 ボナンザ 2014/04/19 19:50
作者が試行錯誤していた時代の意欲作。
ついて行くのが大変だが、それに見合った内容ではある。

No.22 6点 メルカトル 2013/11/26 22:29
仮説を構築してはそれを崩壊させるの繰り返しで、読んでいていささか疲れるというか、飽きてしまう。でも、プロットやストーリーがかの名作『エジプト十字架の謎』に何となく似ていなくもないので、そこは気に入っている。
それにしても本作の法月綸太郎はあまり苦悩していない気がする。悩んで何ぼの名探偵なんだから、もっと苦しむ姿も見たかったかも。
ところでこのタイトル、一体どう読むのかと思っていたが、「たそがれ」とはねえ、なかなかセンスがいいね。
まあ、そこそこ面白かったし、楽しめた。みなさんが言うほどひどい作品だとはあまり思えない。

No.21 7点 バード 2013/05/19 13:26
これを読んだときは二ヶ月くらいミステリを断っていて久々だったのでとても面白く読むことができた。しかし冷静になって見返すともうひっくりかえりすぎ!
法月さんのデビュー作の密閉教室も何回もひっくり返ることを踏まえるとこういうのが好きなのだろうか?
久々のミステリということで本気で考えながら読んでいきかなり終盤まで自分の考えが残っており、これは正解か?と思ったが最後の最後にドボンした。探偵役までもが行き当たりばったりすぎてめちゃくちゃな気もするが自分はかなり楽しめたので7点。

No.20 5点 蟷螂の斧 2011/12/29 20:30
法月綸太郎の推理がことごとく外れ、もどかしい気持ちになります。ただ推理の一部は当たっていたりするので混乱しました。本作は最初から双子の兄弟がいることが解っているので、安心して読むことができました。最後に実は双子がいたとか、似ている人がいたというオチがあるとがっかりするものです。密室エレベーターは乱歩氏からの引用である旨、先人に敬意を。

No.19 4点 simo10 2010/06/19 11:45
これまでの氏の作品の後書きを見ていると、一作ごとに作風が大きく変わるとのことがよく書かれていたが、この三作品目を読み終えた印象は、例のごとく情報を論理的に細かくつついており、あまり変わらないなあといったところ。
また、「綸太郎の推理」⇒「ハズレ」の繰り返しが大半を占めるため、物語性に欠けた印象も受けます。
的はずれとも言える推理を繰り返す中で、時には正しい情報が含まれているため、その情報の取捨選択を楽しめるかどうかが、この作品を楽しめるかどうかの分かれ道になりそう。(正直、自分には合いませんでした。)
三作続けて、ページをめくる指がなかなか進まない…

No.18 6点 E-BANKER 2010/05/23 19:00
法月綸太郎シリーズ。
久しぶりに再読してみましたが、初読時は他の書評と同じく、仮説の連続で訳が分からないまま終わったような印象でしたねぇ・・・
ただ、今回再読してみると、その辺はそんなに気になりませんでした。(2回目だからでしょうか)
要は、「なぜ首を切ったのか」という理由付けの問題について、新事実が発覚するたびに「あーでもない、こーでもない」と推理し、結局は落ち着くべく所に落ち着いたという感じですね。
ただ、いくら兄弟だからといって、誰も見間違えないほど似てますかねぇ・・・いわゆる「入れ替わり」トリックについて、本作品はかなり乱暴な扱いじゃないかと思います。
現代なら「DNA鑑定」なんていう問題もありますし・・・

No.17 4点 文生 2010/01/20 17:07
コリン・デクスターの真似事のように仮説を立てては崩していくのですが、その推理に切れ味がないので今ひとつ楽しめない。
それでも推理シーンがたくさんあるので本格ファンにはそれなりに興味深い作品ではありますが。

No.16 5点 ZAto 2009/11/02 23:03
根幹は明快なのだが、もう枝がしつこいくらいに八方に張り巡らされて、それを掻き分けながらページをめくっていくのが楽しくもあり、しんどくもある。

No.15 4点 測量ボ-イ 2009/05/13 15:52
正直、こういう作品はあまり好きじゃないです。
仮説、仮説の繰り返しで読者を引きずり回して、最後にこれ
が真相です、といわれても何だか納得できない感じです。

No.14 6点 こう 2009/02/08 00:07
 コリンデクスターをはじめて読んだときは非常に感動しましたがこの作品の仮説の繰り返しはそれほど感銘を受けなかった覚えがあります。
 法月氏らしく伏線やその時点での情報に基づく推論でむしろ本家よりもロジカルかもしれませんが、結局間違った情報に対する仮説の繰り返しで「予想」と変わらないという本家同様の難点がかなり目につきます。
 真相のひねりも法月氏らしいですが逆にこのスタイルでない方が面白くできたかもしれません。

No.13 5点 おしょわ 2008/05/05 22:46
仮説の繰り返しに正直疲れました。
法月長編作品の典型的な悪いところだなぁ。

No.12 5点 マニア 2008/02/29 20:14
新興宗教、脅迫状、過激派ゲリラと自分好みの展開で途中まではとても楽しめた。しかし、事件の推理が始まってからは目まぐるしい仮説の連続で正直着いていくことができない場面もあった。それでも、次々に新事実により仮説が覆されていくのは逆に快感でもあったかな。真相は少しインパクトに欠けるような感じがした。

嫌いじゃないけど、自分は綸太郎に事件の依頼はしたくないかな(笑)

No.11 4点 Tetchy 2008/02/17 13:58
コリン・デクスターをやりたかったとのことだから、度重なる仮説のひっくり返しは覚悟していたが、これほどとは・・・。
みなさん同様、真相が解っても、「へぇ~・・・」って感じでした。
法月初体験には向かない小説。

No.10 6点 いけお 2008/01/07 00:17
良くも悪くも典型的な法月作品。
個人的には、たまに読んだので楽しめたが、連続で法月作品を読もうとは思えなくなるような感じ。
関係ないが、メンターって響きがなぜか印象深い。

No.9 5点 spam-musubi 2007/09/06 10:59
この「仮説を立てては間違えまくり、よれよれになりながら解決へ辿り着く」
というのが法月探偵のスタイルとして定着した作品。あまりに頼りなくて、
感情移入する気になれないんですよねぇ。

新興宗教、入れ替わりといったギミックは割りと好きです。

No.8 7点 弓月 2007/06/19 22:55
 密室の謎は、意外と早めの段階で解けてしまったり、中盤でかなり立ち入った推理が展開されたりと、話をまとめに入るのが早いなぁなんて思ったりしましたが、そこはやはり法月作品。これでもか、これでもかと、推理→仮説→破壊を何度も何度も繰り返します。終わりの際まで繰り返します。
 ほんとにややこしいのは否めないです。でもやっぱり、最後まで楽しめました。
 それにしてもアナグラムお好きなことで・・


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