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[ SF/ファンタジー ]
鋼鉄都市
イライジャ・ベイリ&R・ダニール・オリヴォー
アイザック・アシモフ 出版月: 1959年01月 平均: 7.71点 書評数: 7件

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早川書房
1959年01月

早川書房
1969年01月

早川書房
1979年03月

No.7 7点 虫暮部 2021/03/03 14:08
 貧すれば鈍する。人は差別をする。後半、政治の話にシフトしつつ意外にも面白いが、結末はアレでいいのか?
 あまりに滑らかなロボットは、優秀なマシンと言うより金属製のホムンクルスみたい。出来過ぎで却って興を殺がれる部分も。
 腕のチェックだけでロボットと判断するのは早計だよ。ベントリイ君16歳が少々子供っぽ過ぎでは。ダニールが食べた物を取り出して処理する場面では吹き出してしまった(ボッコちゃん?)。

No.6 7点 クリスティ再読 2019/12/22 23:39
本サイト海外SFのトップスリーの一角になる。SFとミステリの融合としてはお手本的作品で、仮説を立てては崩れてで、手法的には完璧にミステリしてるから、皆さんのお気に召すのは確かだ。
よく時の流れで「SFは腐る」という言い方をすることがあるけども、未来社会を描いたつもりでも、実はその作品が書かれた時代を無邪気に投影しまくってしまってて、時代が移るとそういう「昔みたいな未来」に強烈な違和感を感じて...ということもあるわけだ。評者本作を読んでて、何かGHQ占領下の日本(とかアメリカ統治下の沖縄)でこんな事件とバディ捜査があったら?なんて妄想を膨らましちゃったよ。相互コミュニケーションが最初から本質的な問題になるような「相棒」との疑心暗鬼も含めた関係性、というあたり、なかなかいい着眼点だとも思うんだ。
さらにねえ、今のニッポンってこの作品の地球人の姿にも似ているようにも感じるんだよ。忖度が幅を利かせる閉鎖的な世界になりつつあるんじゃあ....「ガイアツと居心地のいい監獄」の話と本作を読んだら、とってもイマの警世の書になるのかもしれない、がたぶんこれはアシモフの意図とは違うんじゃないか(苦笑)。改めての海外雄飛(処女地植民)が文明論的処方箋、というのはやはりアシモフの時代の限界なんだろう。
まあそれでも、SFと言いながら文明的な摩擦と理解、というあたりの大テーマを、アシモフならではのポリティカルなセンスで裏打ちして地球人・宇宙人・ロボットの三者の相互理解の問題として「ミステリ」の謎に落とし込んでいるあたりが、技法面での面白さになっているようにも思う。テクニカルな手法の面では大古典、といっていい。ミステリとしての「解」がさほど面白くはないのはご愛敬。

No.5 10点 ことは 2019/02/02 17:42
SFとしては、世界設定が好み(地球人は広場恐怖症でスペーサーと対立している構図etc)
謎解きとしては、仮説の構築/崩壊を繰り返す展開が好み。
物語としてはバディ(相棒)ものとして楽しい。
アシモフは大好きな作家で、ミステリファンに読んでほしい作家です。
基本的にアシモフ作品は「謎と解決」型の作りなので(ファウンデーション・シリーズだって、思い返せば「謎と解決」型でしょ?)、多くのミステリファンが楽しめるはず。
若い頃によんで、思い入れがあるので最高点で!

No.4 7点 ボナンザ 2014/05/06 14:56
SFと本格ミステリの高度な融合。アシモフ自身のSF解釈を基に普通のミステリでは描けない内容の高度な作品を生み出している。

No.3 7点 E-BANKER 2012/01/05 22:53
1953年に発表された伝説的SF作品。
近未来(?)の地球、そして宇宙を舞台としたSF&本格ミステリー。

~突然、警視総監に呼び出されたニューヨーク・シティの刑事ベイリは、宇宙人惨殺という前代未聞の事件の担当にされてしまう。しかも、指定されたパートナーは、ロボットのR・ダニールだった。ベイリは早速真相究明に乗り出すが、巨大な鋼鉄都市と化したニューヨークには、かつての地球移民の子孫であり現在の支配者である宇宙人たちへの反感、人間から職を奪ったロボットへの憎悪が渦巻いていたのだ・・・傑作SFミステリー~

さすがに、伝説的なSF作品だけのことはある。
ここでいう「宇宙人」とは、いわゆる「異星人」ではなくて、その昔地球から宇宙へ旅立ち、適当な惑星に住み始めた地球人のことを指している。そして、地球(本作の舞台はアメリカであるが)は、人間の住むスペースが「シティ」という閉ざされた空間に限られ、それ以外の場所は誰もいない、危険な場所という設定になっている。
(地球のすべてのエネルギーが原子力に依存しているという設定がなかなか皮肉だが・・・)

そして、本作のテーマが「人間対ロボット」という図式。
これがいかにも1950年代に発表された作品ぽい。恐らく、この時代でいえば最先端に近いアイデアを盛り込んで本作は書かれているとは思うのだが、やはりどうしようもなく「古臭い」というか「時代」を感じさせてしまう。
恐らく、この時代のロボットは、いわゆる「ロボットらしいロボット」(昔の特撮ヒーロー作品みたいな奴?)を踏まえているため、作品中に出てくる「ヒューマノイド型(=人間と同じ造形をしている)」というのは、かなり大胆な発想だったのだろう。
その辺の、ベイリとダニールのやり取りはある意味興味深く読めた。

そして、本筋の殺人事件だが、真相はちょっと腰砕け気味。
ベイリは仮説を立てては壊し、立てては壊しというトライ&エラーを繰り返し、真相に行き着くわけだが、捨て推理の方が何だか魅力的な解法に見えたのだが・・・
ただ、ロボット工学三原則についてのやり取り(ベイリ、ダニールと博士の)はなかなか面白かった。
トータルで評価すれば、歴史的意義を含め、十分に手に取る価値有りと断言できます。

No.2 8点 大泉耕作 2011/09/14 15:29
展開される物語、会話に至るまでに解決へ向ける伏線が張り巡らされ、しかし筆者はただ単にそれを伏線のみに終わらすことを拒み、ボストン大学準教授の知識を豊富に取り入れ見事なSF古典に成り立たせ最後の二十ページに物語の必然性が終結する様な形で終えています。
 労働と宇宙国家による独自にすすめた見解で齎される社会の偏見の波にどっぷりと浸かり込んだ読者は、巧みな文章力で展開に目を奪われてぐいぐい引きこまれてゆきます。
 伏線の上で構成された物語、並びに宇宙人・サートン博士殺人事件の真相は割と地味な方ですが、一見して不可能な犯罪を一筋に織り上げて行く様は見事です。
 会話もこんなにユーモアのあるものは久しぶりだと思いました。それだけでも一読する価値は十分に備わっていると思うし、またSFと本格推理物を好む人であればこの古典を読まずして語れずです。

No.1 8点 2009/11/05 21:02
SFミステリと言っても、ホーガンの『星を継ぐもの』が、SFならではの(犯罪とは無関係な)謎ととてつもないトリックを見せてくれるタイプであるのに対し、本作はSF世界の中で起こった殺人事件の捜査という、古典的な謎解きミステリになっています。
有名なロボット3原則の抜け道探しや、「シティ」住人の特性というSF設定があるからこそ成立する開かれた密室、「宇宙人」という言葉の定義と役割など、いかにもSFらしい楽しみがふんだんに味わえます。
謎解きとしては、真犯人は巻半ばで第一容疑者になっても不思議がないのですが、ある事実のおかげで嫌疑をまぬがれています。この事実に関するアイディアは、実は犯人自身おそらく知らないままの偶然だというところが、若干不満な気もしますが、タイム・リミットのサスペンスで味付けされた最後の推理部分は、論理的な満足感を与えてくれました。
 ※注意:ハヤカワ文庫版のあとがきに、真犯人についてネタバレあり!


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