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ペンバリー屋敷の闇
T・H・ホワイト 出版月: 不明 平均: 5.00点 書評数: 1件

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No.1 5点 nukkam 2022/01/16 22:22
(ネタバレなしです) インドに生まれギリシャで亡くなった英国のテレンス・ハンベリー・ホワイト(1906-1964)はファンタジー小説の「永遠の王」四部作の他に冒険小説、SF小説、ノンフィクションなど様々な著作がありますが、1932年発表の本書はサスペンス小説です。全体の1/3を占める第一部は大学に起こった二重死亡事件を扱った本格派推理小説で、片方がもう片方を殺して自殺したのではと思われますが第5章でのどんでん返しの末にブラー警部がトリックを見破って真犯人を名指しします。ところがこれで解決とはならないまま(犯人と指摘されても全く動じない真犯人が凄い)第二部に突入し、ペンバリー屋敷の主人があまりにも軽率な行動で真犯人に狙われることになるサスペンス小説にがらりと変貌します。もっとも(警察を退職した)ブラーも相当に軽率なことやってると思いますけど。本格派からサスペンス小説へ切り替わる展開はマージェリー・アリンガムの「幽霊の死」(1934年)を彷彿させますし、たった1人で大勢をきりきり舞いさせる神出鬼没の真犯人はフィリップ・マクドナルドの「エイドリアン・メッセンジャーのリスト」(1959年)を連想しました。


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ペンバリー屋敷の闇
平均:5.00 / 書評数:1