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[ 本格 ]
ローマ帽子の秘密
エラリイ・クイーン、国名シリーズ
エラリイ・クイーン 出版月: 1960年12月 平均: 5.40点 書評数: 20件

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東京創元社
1960年12月

角川書店
1963年01月

早川書房
1982年06月

東京創元社
2011年08月

角川書店(角川グループパブリッシング)
2012年10月

グーテンベルク21
2013年03月

No.20 5点 バード 2020/08/19 07:22
本作って挑戦状までの記述だけじゃ、犯人を一意に決められないと思うのだが。
劇場内の全員という、非常に多い容疑者の中から犯人を一人に絞る切れ味抜群の論理を期待していただけに、挑戦状以降を読んだときは少しイラっとした。帽子を持ち出したタイミングや方法を特定する論理は上手いのだが、フーダニットの観点でケチがついた一冊。
点数は、「ストーリー(6)」+「帽子に関する論理(1)」+「挑戦状前の情報不足(-2)」です。

(以下ネタバレあり)

・犯人当ての推理で、(読者視点だと)色々と決めつけすぎ。以下ような別解を論理で捌ききれていない。

別解1 (帽子をかぶらずに劇場にきた紳士Aが犯人)
そういう紳士が犯人なら堂々とフィールドの帽子をかぶって劇場の外に出られる。作中ではこの説は
「ここまでよく計画を練った男なら、不必要に顔を見覚えられる危険をおかすことはまずないだろう、というのが我々の結論だった。」
というセリフによって棄却されるが、これは根拠の無いただの決めつけな気が。

別解2 (他の役者が犯人)
役者たちの中で正装だったのが”バリーだけ”というのが挑戦状の前に書いてない(私が見逃しているだけならば、指摘していただきたいです。2011年08月出版の東京創元社を読みました。)ので、当然他の役者も疑える。女性陣も例外でない。男の共犯者がいれば女でも殺人犯たりうるということは、作中でも言及されている。

まあ別解1はイチャモンみたいなものだが、2の方は結構問題じゃないか?「帽子を自然に劇場内に残せるのは役者達だけ」と考え付いても、それ以上殺人犯を絞れないじゃないか。
ちなみにジェスが犯人という別解も、一応作れた(イチャモンレベルと思うが)。

No.19 6点 ことは 2020/06/06 22:42
創元の新訳で再読。初読時よりは楽しめた。
新本格を経た視点で謎解きミステリとしてみると、推理としては1点しかないので、ページの割には小粒だ。(後半の帽子の隠し場所の推理は、推理とはいえないようなものだし)
代わりにページを費やしているのは、捜査の段取りだ。劇場で殺人が発覚し、劇場内に観客を残して捜査が開始される。搜査当夜が終了するのは百ページ台の後半あたり。この捜査の段取りを楽しめないと、本作は楽しめないと思う。
この読み心地は、やはりヴァン・ダインの影響だろう。執筆時期を考えると、参考にしたのは、ベンスン、カナリヤの2作だけではないだろうか。
ヴァン・ダインからの改定点としては、(「プロの警官をそこまで馬鹿に書くのはどうか?」と思ったのか)視点人物を優秀な警官にしていること。そして解決として「読者にも可能な推理」を組み込んだこと。これにより「挑戦状」というスタイルを説得力をもって実現したこと。
評価姿勢としては、「推理が小粒である」ことより「初めて推理を組み込んだ」ことを肯定的に捉えるのが適切と思う。(けど、点数はこんなものかな)
また、「九尾の猫」とつづけて読んだからか、クイーンは最初から街(劇場)を描こうとしていたんだなぁと思った。こういうのも、私はクイーンに好感触をもつところだなと思う。

No.18 4点 レッドキング 2018/11/27 14:19
何故にある物は持ち去られたのか? 犯人がそれを必要としたか それが犯人を指し示す物だったから
それは誰によって如何にして持ち去られたのか? 閉ざされた空間の数百人の容疑者の中から一人の犯人を導き出すロジック でも所詮ロジックはロジックでしかなく 決め手となるのは確かな「証拠」 それがないから行われる「おとり捜査」・・・これあまり愉快でないんだな ようするにわざわざ犯行を行わせるよう仕向けるんだもんな。
それにしても どんなにわずかであったとしても その血の中に〇人の血が混じっていることが致命的な脅迫材料になるってのも・・米国というか時代というか・・・。
そういえば 我国の帝に「私たち皇室には〇〇人の血が入っている」とのお言葉があった。 また某大物元首相は「私には〇〇〇人の血が流れている この太いまゆ毛を見れば分かるだろ」って戯言いってたな。

No.17 6点 弾十六 2018/10/27 23:12
1929年出版 今回は創元文庫(2011年)で読みました。
親子で仲良く口笛を吹いています。父は「ニューヨークの歩道」、息子はシューベルトのアリア。四十年前に創元文庫の旧訳で読んだのですが例によって全く覚えておらず、犯人の動機だけが朧げに記憶の片隅にありました。う〜ん、本格ですね。とても真っ当な推理ですが「素晴らしい!」という程ではありません。こちらはシルクハットが無いことが謎ですが、JDCの帽子収集狂(1933)はシルクハットが有ることが謎でした。(きっと意識してますね)
あと国名シリーズと言われているが、ローマは国名ではない!(ローマ帝国なら国名か?) ローマ帽子というのも後の国名シリーズの名付け方からすると変です。
ヴァンダインからの影響ですが、第1作を読み比べてみたら、言われてるほど似てるかな?という印象。もっと類似点が多いと誤解してました。(鼻眼鏡・片眼鏡、稀覯本・絵画を買い逃すとか確かに似てますけど…)
ところで当時の劇場にトイレはなかったのでしょうか?ヴェリーが下水を調べてる場面は想像したくもありませんが…
---
(2020-4-18追記)
The Saturday Review of Literature October 12, 1929に掲載された本作の評は、ハメットの手によるものらしい。(Don Herron主宰のWebサイト “Up and Down These Mean Streets”のHammett: Book Reviewer参照)
「この「推論の問題」は二人の新探偵クイーンたち(父と子)のお披露目である。愛想良い嗅ぎタバコ好きとファイロヴァンス風の本の虫。感じは良いが、ちょっとウブ過ぎで会話がchorus-likeに過ぎる感じ。[評の中盤はストーリーの要約なので省略] 小さな欠点(劇場支配人が座席表を知らなかったり、動機がちょっと前の劇場ミステリに使われていた)を除けば、本作は本格(straight)探偵小説好きの要望にかなう作品だ。ただし鋭い愛好家なら、全ての証拠は提示された、という告知のところで、真相にたどり着いているかもしれない。」
似た動機が使われてたというanother theatrical mysteryが気になりますね… (ストーリー要約以外は全文を翻訳しました。chorusのニュアンスが掴めず手抜き)
ところで、この評、EQ『最後の一撃』(1958) 第二部の冒頭に(一部略で)引用されています。EQは匿名の評者がハメットだったことを知っていたのか?(知ってたならハメットの名を大いばりで書き込んだに違いない、と思う)
なお、私は『最後の一撃』青田訳を確認してから試訳を公表するつもりだったのですが、文庫本がどこかに埋れてて… 重大な誤りがあったらこっそり修正します…

No.16 5点 虫暮部 2017/12/19 11:45
 現代の目で読むと、ロジカルな本格ミステリと言うスタイルに関して色々まだ未整理な状態で書かれた印象。それほど面白いとは思えなかった。毒物の種類は興味深い。
 そういえばメフィスト賞作家の某氏にも芝居上演中の殺人で類似したプロットのものがある。これは多分パクリというわけではなく、“状況がこうなら意外な犯人のポジションはここ”という共通の発想による偶然だろう。

No.15 7点 クリスティ再読 2017/06/11 23:52
あれ、皆さん評判悪いな...どっちかいうと評者本作は楽しんで読んだけどね。そういえば小学生高学年くらいのときに、人に借りて読んだ本だよ。内容は完全に忘れてたけど、エラリーの推理ほぼそのままに今回読んでて推理は的中。アンフェアというイメージはないよ。
「帽子を回収できた人が犯人だ」という命題自体は結構最初から明示されているわけで、誰ができるのか、マジメに考えれば結構明白だと思うんだがねぇ。まあ人の出し入れとかそう上手じゃないとかあるし、エラリーのキャラがあまり魅力的でないとか、特に前書きが後の作品との一貫性がないとか、いろいろろツッコミどころはあるんだけど...実は本作、クイーン警視の描き方の方に力が入っていて、パパ実に素敵。実質ダブル名探偵だと思うよ...そんなクイーン警視のカッコよさだけでも十分楽しんで読めた(評者オヤジ萌え傾向がある、あれ目が腐ってるのかな?)。なのでその分エラリーがイカスケない若僧だ。今読むとエラリーの書痴ぶり&ペダントリが身の丈に合ってなさすぎるのがわかる。

No.14 5点 ボンボン 2017/05/01 22:49
へえー、これがあの有名なエラリー・クイーンか(作中人物としての)、とまるで修学旅行の中学生のような心境で読んだ。
面白くないわけではないが、淡々と読みこなす作業を終え、理解した、という平坦な読書になってしまって呆然。期待し過ぎたか。まあ、エラリー・クイーンの幕開けの一作として取りあえずよしとしよう。
(いやいやしかし、いい年の息子にべったり甘々なクイーン警視の有様をどう受け取ったらよいものか、最後まで分からなかったな。)
飯城勇三氏の解説で、推理には外せない重要な情報を含む一文が、訳し方如何で役に立たなくなってしまう例を具体に知り、改めて翻訳物のミステリの難しさを感じた。
※角川文庫(訳:越前敏弥・青木創)

No.13 6点 青い車 2016/01/29 20:23
 (長文すぎたレビューを反省し、これからいくつかを修正し再投稿します。)
 記念すべきクイーンのデビュー作。まだまだロジックの精度と大胆さ共に発展途上ですが、劇場公演中の毒殺事件という舞台設定が現代的で好みです。引っかかるのは犯人の意外性についてで、当時ならともかくスレた現在の読者には寧ろ真っ先に疑われてしまう人物に思えます。犯行の流れまでは推理できなくとも勘で犯人だけ当てて詰まらないと言ってしまう人もいるのではないでしょうか。とはいえ、贅肉を削いで謎解きの興味だけで長編を持たせているのはやはり大きな美点です。

No.12 2点 斎藤警部 2015/05/29 13:19
中一の時ね、「エジプト十字架」であれほど熱くなったもんだからそれなりに期待してシリーズ第一作(にしてクイーン処女作)に手を伸ばしてみたんですよ、そしたらこれが眠くて眠くて、何度おふとんの中で寝オチしたか分かりません。でもその悶々としたがっかり感さえも今は美しい思い出ですね。。。。 
しかしそれと採点は別。

No.11 5点 2014/08/20 13:29
殺人は1件のみ、ポイントは帽子のみ。これだけのことに、この長さと登場人物の多さには辟易します。
作者は、読者に、純粋に、フェアな謎解きロジックだけを楽しんでもらおうと考えたのでしょう。万人に楽しんでもらおうとは一切考えなかったのでは、と思います。本作は、エンターテイメント小説としての、読者を喜ばせるためのプロットづくりができていないようです。
変な見方かもしれませんが、プロットが不十分なまま自己満足的に書き上げた純文学との共通性を感じます。
本格推理小説を目指して書いたデビュー作なんて、こんなものなのでしょうか。有栖川氏の「月光ゲーム」を読んだときも同じような印象を受けました。

もちろん、謎解きだけを目的に、地道にじっくりと読むファンには好まれることにはちがいありません。それに本作には、劇場という衆人環視の中での殺人という、題材の魅力があることもたしかです。

エラリー・クイーンといえども、全作が名作というわけにはいかないようですが、本作も魅力がゼロなわけではないし、謎解きはそれなりの出来だし、なんといっても歴史的意義があるから、エンターテイメント小説(ミステリー)の評価としては、「標準作品」と位置づけていいでしょう。

No.10 5点 ボナンザ 2014/04/08 17:25
シリーズ一作目だが、話の魅力と論理性が後の代表作に比べて見劣りする。

No.9 5点 mini 2012/10/25 09:55
本日25日に角川文庫から「ローマ帽子」の越前敏弥による新訳版が刊行される、創元じゃなくて角川だよ
皆様御存知の通り、創元文庫の国名シリーズでは旧井上勇訳に替わる中村有希訳の新訳版への切り替えが着々と進められている、昨年は「ローマ」で今年は「フランス」を新訳版に切り替えた
角川も対抗して大御所越前氏の起用で本気度を見せようというのか、もっとも越前敏弥はダン・ブラウンの翻訳などで角川とは縁が深いんだけどね
ただ越前氏は早川・創元・講談社とも関わっていて、国名シリーズの新訳対決、どちらに軍配が上がるのでしょうか

その国名シリーズの原点であり作家クイーンのデビュー作が「ローマ帽子」である
ネット上の書評を閲覧するに、「アメリカ」「シャム」と並んでシリーズの中では低い評価が多い事に気が付いた、曰くロジックが物足りないとか、これだけでは犯人を絞り込めないとか
私は初心者の頃からミステリーに対してロジックを重要だと思った事が無くて、ロジック面だけが評価の全てみたいな書評は自分では書きたくないなぁと思っているし、そもそも国名シリーズを楽しんで読んだ事無いし、その前に「アメリカ」と「チャイナ」以降のシリーズ作すら未読だし
したがって国名シリーズの中での優劣順位なんて考えた事無いし、「ローマ」も「フランス」も「オランダ」も大同小異にしか感じなかったなぁ
「ローマ」のロジックは「Xの悲劇」と似た面が有るんだよね、「ローマ」のロジックを隙が有ると言うなら「Xの悲劇」だって同様の欠点が有るんだよな、「ローマ」だけを酷評して「X」を絶賛するのは矛盾していると思う
私は理系だったので大学受験の理科を物理で受験したが、物理の入試問題では例えば”表面は滑らかなものとする”などという前提条件が付く場合が多い、何故なら現実では摩擦の影響が多少なりとも有るからだ
しかしそれを考慮すると摩擦係数などを計算式に含めなければならなくなり、試験問題としては本質的な部分ではないのに計算がややこしくなるだけだから省いているのだ、ミステリーだって同様ではないだろうか
結局は提出される謎なんて作者の都合のいいように設定するものなんだよな、作者が帽子が劇場内に見付からなかったと書いたならそれを前提条件として読者側は受け入れるしかない
現実にはどこかに帽子を隠せる場所が在るんじゃないかなんて突っ込みは野暮というものだろう、「X」だって市電から上手く処分出来て警察が見逃したかも知れないんだし、だから「ローマ」に対して推理にアラが有るという非難は私はしない事にしておく

ロジックだけで語られがちなクイーンだが、むしろ初期の国名シリーズに顕著なのは当時の社会風俗を取り入れている面だろう
古典的な館という舞台設定から離れ、劇場やデパートや病院という風俗的舞台に着目したわけだね
そういう点ではハードボイルド派と共通する一面が有り、ハードボイルド派とは対極に思われがちなクイーンだが、当時興隆しつつあったハードボイルド派と共に主導権を英国からアメリカへと移した「ローマ帽子」の功績は評価したいと思う

No.8 7点 好兵衛 2011/06/14 01:59
国名シリーズをやっと読み始めました。

エラリィー・クイーンの登場作として、
その雰囲気を楽しめました。
翻訳ものは、読みにくくて苦手ですが
カーほど読みにくくはなかったです。

殺人事件が一件だけ、というのにまず物足りなさを
感じてしまいました。
しかし、犯人にいたるまでのロジックは
とても面白かったです。

***ここからネタバレ***
ですが、帽子というところから考えていくと
犯人がわかりやすいのではないかな?
と思いました。(まず、男の人三人にしぼられてしまいます)
あと劇帽子の存在をよく把握できなかったのは
私だけでしょうか?

No.7 6点 HORNET 2011/01/30 13:15
 処女作らしく,一つの謎を解き明かしていく過程を純粋に丁寧に描いてあります。犯人へとたどり着く手がかりは,まさにタイトルの「ローマ帽子」一本で,現在読むと、物足りなさを感じるところもあります。ミスリードの役割も果たす捜査の各段階の描写は,読むのがもどかしく感じる部分もありますが,古典作品らしいよさだとも感じます。
 犯人特定にいたる決め手も,「そんなこと書いてあった?」と思うぐらい描写に埋もれていた感がありましたが,何にせよ氏の記念すべきデビュー作を読んだという満足感はありました。

No.6 5点 E-BANKER 2010/10/30 22:24
国名シリーズ第1弾にして、名探偵E.クイーンが誕生した記念すべき作品。
戦時中とはいえ、行間に古き良きアメリカの香りを感じさせ、「劇場」での殺人という設定が作品の舞台効果を高めているような気がします。
ただ、後年の作品と比べると、クオリティの面で格段に落ちるなという印象。
本作は「帽子(=シルクハット)がなぜ消えたか?」という謎にほぼすべてが費やされており、それはそれで明快なロジックと言えなくもないのですが、それだけで自動的に真犯人が決まるという解法にはやはり違和感を感じてしまう・・・
ラストの解決場面でも触れていますが、エラリー自身、中盤部分ですでに真犯人を特定していたとのこと・・・であれば、その他の捜査場面は何だったのか?
その辺り、あまりにも一発勝負すぎて、どうしても「それだけ!」という読後感になってしまいました。
それにしても、警視は息子(エラリー)を褒めすぎ!

No.5 5点 ミステリー三昧 2010/08/12 21:13
<創元推理文庫>国名シリーズの1作目(長編)です。
正直な感想として、分量の割に解決編が大したことなかったです。推理しながら読むことはしませんでしたが、それでは読む楽しさも半減しますし、刻々と描かれる事件捜査場面も退屈でモチベーション維持が大変だということが分かりました。シリーズ全作読む予定ですが、こんな調子では継続できる気がしません。読んだ限り小賢しい細工(ミスディレクション等)がなく、また手掛かりは探すまでもなく全部与えられる為、伏線の妙も楽しめません。ひたすら読者に推理ゲーム楽しんでもらいたいというフェアプレイに徹したフーダニットがエラリー・クイーンの醍醐味で、悪く言えばそれ以外に特に評価するポイントがありませんでした。結果的に「読者への挑戦状」以降の良し悪しが、得点やランクを左右する要因となり「5点」を付けるに至りました。このサイトでの得点機能は単なるお遊びだという認識ですが、エラリー・クイーンは得点が全てを物語っているような気がします。国名シリーズ物では『オランダ靴』『ギリシヤ棺』『エジプト十字架』、悲劇シリーズでは『Xの悲劇』『Yの悲劇』あたりが「8点」対象になることは間違いなさそう。まぁ読み始めたばっかりだし、どこかで自分なりに楽しみを見いだせればいいけど。。。

No.4 5点 okutetsu 2009/07/01 05:37
論理はさすがというところですがいまいち鮮やかさに欠けてるというか…
以後の作品が素晴らし過ぎて見劣りするのは否めないですね。
最初に読むならアリだと思います。

No.3 4点 nukkam 2009/03/27 14:10
(ネタバレなしです) エラリー・クイーンはいとこ関係にあったフレデリック・ダネイ(1905-1982)とマンフレッド・リー(1905-1971)から成るコンビ作家で、単に米国本格派推理小説の黄金時代を代表する作家というだけでなくミステリー専門誌を発行して無名作家の発掘に力を注ぐなどミステリー界全体の振興に偉大な功績を残しています。1929年発表の本書がクイーンの記念すべきデビュー作で、「読者への挑戦状」を挿入して謎解き手掛かりを全てフェアーに提示したことを宣言した作品です。息子エラリーのヒントを基に父リチャードが真相を見抜くという、2人3脚探偵形式を採用しているのがこのシリーズとしては異例の試みです(本書以降は普通にエラリーが謎解きしてリチャードは脇役です)。エラリーを古書愛好家で会話の中にやたらと古典文学からの引用を混ぜる癖があるキャラクターにしていますが、これは当時人気絶頂だったヴァン・ダインの名探偵ファイロ・ヴァンスを意識した造形になっています(ちょっと意識しすぎだと思う)。登場人物が無駄に多くて(しかも個性が描けていない)非常に読みにくく、心地よくだまされたという快感よりもこんな物量作戦では犯人が当たるはずないという不満の方が強かったです。

No.2 7点 2009/01/24 23:00
アメリカの歴史に新たな1ページが刻まれた今、ミステリ・ファンとしてはこの作品を思い返してみるのもいいのではないでしょうか。1929年、世界大恐慌の年に本作が発表されてから80年後の変化には感慨深いものがあります。
ゆすられていたネタは何でもよかったはずで、それでも議論を呼ぶかもしれないあの理由にしたこと、また、当時の娯楽の中心だったにぎやかな劇場(映画もやっと音声入りが試みられていた時代です)を事件の舞台にしたことを考えても、クイーンには『災厄の町』などよりはるか以前、第1作からすでに社会派(リアリズム)的な志向が多少はあったと見るのは、論理が強引過ぎるでしょうか。

No.1 8点 Tetchy 2008/08/15 13:27
このような古典海外本格ミステリをこの年になって読むことに躊躇いがあったが、いやいや面白かった。
国名シリーズ第1作なので、恐らく事件・話自体はかなりシンプルな物であるだろう。
しかし純然たる読者との知的ゲームとしては十分に堪能できた。
おまけに犯人、その他の謎について当てることが出来たのも点数に加味されている。


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