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[ 短編集(分類不能) ]
ボッコちゃん
旧題『人造美人』
星新一 出版月: 1961年01月 平均: 7.50点 書評数: 14件

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新潮社
1961年01月

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1979年10月

No.14 5点 ボナンザ 2023/11/18 23:44
さらっと読めるけど印象に残る。才能のデパート。

No.13 6点 ひとこと 2023/05/28 17:48
懐かしい!!小中の時の朝の読書時間に読んでいたのを思い出す。

No.12 8点 クリスティ再読 2022/12/18 22:35
小学校の時だっと思うけど、学校の集団購入があって、そのリストに星新一の本が何冊もあった。星新一ブーム真っ最中。評者も買ったんだが、その本どうなったのか記憶がない。評者の世代だと星新一は「世代の共通体験」みたいに感じているよ。

なので50年ぶりくらいの再読。いくつかのショートショートはしっかり記憶にあるし、真鍋博(この人も当時ブーム)の装丁+挿絵がやけに懐かしい。うん、今回の再読の一番の印象は「古びてないな~」。いや、いろいろデテールで「古い」ところはあるんだけども、ぎりぎりまでにそぎ落とされたスタイルが「古く」ならないし、「子供でも読んで理解できる」のが、普遍性そのものであることを再確認した。SF設定は単にデテールを省略するための仕掛けに過ぎない。

実のところメルヘン的なものは感じないんだ。「月の光」や「生活維持省」「冬の蝶」「闇の眼」「最後の地球人」といった作品のセンチメントに満ちた絶望と悲しさが強く伝わってくる。この強さに比べたらアイデアストーリー的な部分は皮相的なものじゃないのかな。子供って残酷なものだから、「鏡」だって伝わるものなんだ。(「マネーエイジ」って子供はね~憧れる)

だからアイデアストーリー的な作品でも、オチで露になるのは人間のどうしようもない愚かさや悲しさであり、文明批評ではない人間の普遍的な「悲しいドウブツ」な部分になってくる。それを感情移入せず突き放してまとめるのが星新一のストイックなスタイル、ということになる。

一言で言えば星新一の強みは「非人情」ということだろう。そのクールで突き放したスタイルは常にショッキングで、そのベースに感情を揺さぶる「ショック」があるからこそ「いつでも新しい」。

No.11 6点 蟷螂の斧 2022/04/16 12:11
大昔、読んだときはSFのイメージが強かったが、今ではSF色は薄いと感じられる。その間、科学が進歩したということか。自薦の50作品 8点~3作品 7点~7作品 6点~15作品 5点~14作品 4点~9作品 3点~2作品 
①悪魔 7点 悪魔に金を無尽すると、次から次へと金貨を出してくれる・・・
②殺し屋ですのよ 7点 完璧な殺しを引き受けるという殺し屋の正体は・・・
③猫と鼠 7点 殺人を目撃され強請られていた男は相手を殺そうと・・・
④生活維持者 7点 平和な世界。しかし人口抑制のため無作為に選ばれた人物は死ななければならない。殺人執行者の二人組は抽選先に向かう・・・
⑤悲しむべきこと 8点 借金までしてプレゼントをしているサンタ。金欠のため強盗に入ると、そこの主人がアドバイスをしてくれた。サンタの肖像権を利用して儲けているデパートがあると・・・
⑥ねらわれた星 8点 金属製のウロコがある宇宙人は人間の皮膚を溶かすビールスをまき散らし殺害しようとしたが・・・
⑦親善キッス 8点 美人の異星人とキッスをしたい。異星人は嫌がるが地球の挨拶だといって・・・強烈なので、これは覚えていました(笑)
⑧人類愛 7点 救助隊員が遭難者に話しかけると同郷であり、アパートまで一緒と判明するが・・・
⑨闇の眼 7点 テレパシーのある子供を持った親は、優れた能力があっても不幸という・・・
⑩冬きたりなば 7点 地球に似た星での冬物の訪問販売。今は金がないといわれたので支払いは春でといったが・・・

No.10 8点 バード 2021/02/13 11:00
学生の頃星さんの本を何冊か読んだ時は、安定感はあるが話の短さで誤魔化している作家、と思った。しかし、本当は逆で、短いと誤魔化しが効かない。そんな高難易度のショートショートで安定して面白い凄い作家、というのが私の現星さん評価である。
本書は、そんな作者の力量が遺憾なく発揮された良短編集だ。

あとがきによると、マンネリ化を避けるために本短編集には色々なパターンの話を入れたそうだ。自分は『おーい でてこーい』のような因果応報系と、『親善キッス』のように最後で重要情報を明かしてオチを付ける系の話を特に気に入っている。

No.9 5点 E-BANKER 2020/10/13 22:38
もはや伝説的となった作家・星新一。残念ながらその功績や略歴など詳しくはないのだが、個人的には星新一=SFまたはショート・ショートの大家というイメージが強い。
ということで、一度は読んでみようかということで本作を手に取った次第。
自選短編集として新潮社から1971年に発表された作品。

以下、印象に残ったものをピックアップしてみる。
1.「悪魔」=初っ端の作品がいきなり「悪魔」とは・・・。作者も人が悪い。
2.「ボッコちゃん」=そして表題作。ラストは結構ブラック。だけどどことないユーモア(死語)あり。
4.「殺し屋ですのよ」=これは成程。オチも決まって、ショート・ショートのお手本?
5.「来訪者」=これは皮肉が効いてる。本当にこんなことがあるかも・・・って思わせる(わけないだろ!)
14.「生活維持者」=これは世界観が何とも・・・良い。ブラックだけどね。
20.「鏡」=ここにも「悪魔」が登場。で、ラストは因果応報的
21.「誘拐」=なかなか上手い方法・・・なのか?!
23.「マネー・エイジ」=何でもかんでも金、カネ、かねという架空の世界の話。いやっ、現代世界も似たようなものか・・・
26.「ゆきとどいた生活」=何事も「ゆきとどき過ぎる」とダメってこと。
28.「気前のいい家」=アハハハ・・・。これはいいシステムかもしれない。
47.「白い記憶」=アハハハ・・・。こんなこと本当にあったら笑うなぁ。いや、逆に笑えんかもしれない。
50.「最後の地球人」=ラストの一編は実に訓示的で余韻が残る。アダムとイブかと思ったけど違う?

以上。すべてショート・ショートで50編。
さすがに途中からツラくなってきた。テイストの似通った作品も多いし、作者の考え方や思想も途中からだいだい察してきただけに、「またか・・・」という思いもよぎってくる。

でも、確かにこれは日本のショート・ショート界(そんな界ある?)を代表する作品ではあるだろう。
作品自体はごく短いものだけど、奥には底知れぬ世界が広がっている。そんな気にはさせられた。
さすが星新一。恐れ入りました。

No.8 8点 2020/09/02 17:54
10年ほど前に表題作と『親善キッス』は本屋で立ち読みしたが、それ以外はほんとうに、ほんとうに久しぶりの再読である。

マイベストは、古い記憶にもとづけば、『親善キッス』『暑さ』『ボッコちゃん』の3作だったが、今回の再読では、これら以外に、『マネーエイジ』『雄大な計画』『ゆきとどいた生活』もランクインした。いやあ、もっとあるかも。
とにかく、もうひとつだなと思うような作品がわずかしかない。

ほとんどの作品にミステリー的なオチがあることが特徴。
少年時代に、SFとしてよりも、どんでん返し付きショート・ミステリーとして楽しんでいたことが思い出される。

No.7 9点 sophia 2019/03/07 00:04
著者の作品には従前より興味はあったものの、作品の数が多いためどれを読めばいいのか分からずにいましたが、最近読んだ米澤穂信「本と鍵の季節」に星新一の代表作のような触れ込みで本書のタイトルが出てきたので読んでみました。とても50年近く前の作品とは思えません。ショートショートというジャンルを少し軽く見ていました。ただし前半に比べると後半はキレが落ちた気がします。「ボッコちゃん」「包囲」「不眠症」「生活維持省」「鏡」「人類愛」「ゆきとどいた生活」「妖精」「おみやげ」が特にお気に入り。最後に「ボッコちゃん」あるあるを。博士の家に強盗入り過ぎ。金庫開けようとしすぎ。

No.6 7点 take5 2019/02/19 21:33
50作品の完成度の高さは
言うよしもがなですが、
必読は筒井康隆の解説です。
ご自身初ですって。
星新一の作品への愛を感じる
解説でした。
ショートショートは少年から
老年まで気軽に楽しめます。

No.5 7点 弾十六 2018/11/26 05:42
1961年出版『人造美人 ショート・ミステリイ』『ようこそ地球さん』(いずれも新潮社) を中心に自選50篇。文庫オリジナルのようです。私は電子本で読みました。
セリフの感じが60年代です。スマートという形容がふさわしい。
真鍋博のイラストも良いですね。
小学校の教室内にあったように記憶しています。人が読んでると、読みたくなくなるへそ曲がりなので、随分大人になってから読みました。(きっかけは最近のショートアニメだったような気がします)
短い作品は大好きです。そして星さんの作品は読む前から品質に安心感があるのです。(星新一伝、買ってるけどまだ読んでいません…)

No.4 6点 メルカトル 2017/06/18 22:24
三名の方が書評されて、みなさん10点を付けているので興味を惹かれ読んでみました。もちろん星新一氏の名前は知っていましたし、随分前に読んだ覚えがあります。しかし内容などは覚えていません。感触としては可もなく不可もなくといったところだったように記憶しています。
ショートショートというのは、アイディアとオチが最重要ポイントだと私は思っています。アイディア=設定(SF、寓意小説、ブラックコメディ、ミステリなど)をどうするか、或いは時代や舞台なども含めてですね。オチは勿論最後の一行で捻り落されるのが理想でしょう。
その意味で本短編集は必ずしもすべてが見事に決まっているとは言い難く、秀作もあればそうでないものもあり、全部をひっくるめてこの点数になりました。
印象深いのは『不眠症』『歓迎キッス』『生活維持省』『鏡』辺りです。いずれもエッジの効いた奇想が好感触です。反転物があったり、綺麗に落とされていたりと、大変面白く読みました。ほかにも気の利いた短編がいくつもあり、ショートショートの楽しさを堪能できます。ラストの『最後の地球人』は大作で12頁もあります(笑)。
蛇足ですが、写真の星新一氏は私のイメージと違ってとても紳士的な感じの人で、少々驚きました。もっと太ったラフな雰囲気だと勘違いしていました。

No.3 10点 Tetchy 2017/05/07 22:34
星新一珠玉のショートショート集。私が作者の作品に出会ったのは中学校の教科書だった。そこに収められていた「友好使節」が私を星作品の虜にした。
その作品は第2集の『ようこそ地球さん』に収録されているが、本書は作者が選出した物が収められているだけあって外れ無し。
現在を予見した内容と風刺に満ちている。敢えてお勧めは挙げないが読んで損なしの1冊です。

No.2 10点 名探偵ジャパン 2017/04/25 23:19
なんと『ボッコちゃん』が登録されているではないですか!(星新一自体、前から登録はされていたのですね。ミステリ作家ではないため、すっかり見逃してしまっていました)
初めて読んだ幼少の頃、表題作「ボッコちゃん」のオチが理解出来ずに「?」となったことは強烈に憶えています。「おーい でてこーい」は道徳の教科書に載っていました。

星新一はSF作家ですが、ミステリ的見所もあります。
「殺し屋ですのよ」はハウダニット。「暑さ」はサイコホラー。「ゆきとどいた生活」は叙述トリック。「なぞの青年」はホワットダニット(何が起きているのか)。
「ボッコちゃん」もミステリ的オチといえるでしょう。
星新一の作品は、宇宙人やロボットが出てくる、いかにもSFなものだけでなく、現代社会を舞台にしたミステリ的作品もあることが好きです。多くの作品は、水増しして短編から中編のミステリに仕立てることが楽勝で出来てしまうでしょう。太っ腹!
1971年刊行の作品にここまでやられるとは。「おーい でてこーい」などは、21世紀に入った現代においてこそさらにテーマの輝きは増しているのではないでしょうか。人間、全然進歩してねーな。

ジャンルを超えて、読書人必読の一冊といえるでしょう。

No.1 10点 斎藤警部 2017/04/25 01:07
そこにミステリファンがいたら、この本も当たり前の様に一読を薦めるでしょう。
あっさりしながらとてもカラフルな語り口で紡がれる物語は、時に楽しい気分を演出し、時にちゃっかり悪夢を提供し、豊かな残像と後味をその後何十年にも渡って残してくれることでしょう。

悪魔/ボッコちゃん/おーい でてこーい/殺し屋ですのよ/来訪者/変な薬/月の光/方位/ツキ計画/暑さ/約束/猫と鼠/不眠症/生活維持省/悲しむべきこと/年賀の客/ねらわれた星/冬の蝶/デラックスな金庫/鏡/誘拐/親善キッス/マネー・エイジ/雄大な計画/人類愛/ゆきとどいた生活/闇の目/気前のいい家/追い越し/妖精/波状攻撃/ある研究/プレゼント/肩の上の秘書/被害/なぞめいた女/キツツキ計画/診断/意気投合/程度の問題/愛用の時計/特許の品/おみやげ/欲望の城/盗んだ書類/よごれている本/白い記憶/冬きたりなば/なぞの青年/最後の地球人
(新潮文庫)


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